再録

医者の名義貸し

僕は今、大学院生という名前の無給労働者であり、かつて、卒後すぐに入局してきた研修医たちがこなしていたような雑務は、そのまんま新制度以前の医者たちの仕事になって、今に至っています。 下手すりゃ別に名義借りてもいいんじゃないかというくらい頻回に…

テポドン

サイト8周年というのをまだ引きずってみます。 現在のはてなダイアリーの源流としてのウェブ日記は、1998/9/25に開始しています。大学4年生の、前期試験が終わったあたり。書いている内容も、文体も、テンションもどうにも恥ずかしいので、現在ログが消え…

2002/10/10(木)「良きサマリア人」

世界で最大のベストセラー書に、こんな一節があります。 ある人がエルサレムからエリコへ下っていく途中、追い剥ぎに襲われました。その人は、追い剥ぎに身ぐるみはがされ、半殺しにされた上、その場に放置されました。たまたまその道を下って来たある祭司は…

2000/12/20(水)「日記猿人とか2ちゃんねるとか」

すみません、今日は珍しく日記猿人(という日記リンク集)の話題です。興味ない方はまた日を改めてお越し下さい。 今までも、日記猿人というそのシステム自体への批判や、登録日記そのものに対する攻撃のようなものはありましたが、かつては、その日記猿人とい…

2004/1/21(水)「外科医の傲慢」

僕はジェネラリスト(スペシャリスト=専門家の対義語)になりたくて外科を選びました。外科医は多かれ少なかれ、全身を診るのだとか、最も幅広く診療するのだという自負を持って生きていると思います。そのプライドは重要、というか、激務故、そんなプライド…

2004/1/6(火)「無職」

最初大学で働き始めた頃も、大学に職員の身分が無く…っていうかそもそも医師免許が無くて、法律上無職状態だったわけですけど、2004年の幕開けとともにまた無職。大学の隣の市の病院で、3ヶ月間、麻酔科研修をすることになったのですが、この間、病院に職員…

2004/4/29(木)「年金」

ここしばらくは、一年目の研修生活を彷彿とさせるように、ほとんど病院にはりついていたので、社会の動きとかそういうことが本格的にわからなくなっていました。人と接する仕事なのだから、本当はそういうのは良くないんでしょうね。のめり込んだり、大騒ぎ…

信頼の医療

割り箸事件やらタミフルでの大騒ぎ。こういった流れはある意味予想通りだなあ。2年前の今頃書いた日記を再録します。当時いろんなところから反応を頂いた日記です。哀しいことに、最後のパラグラフで心配していた通りになってきてしまっているなあ。2003/11…

2002/6/28(金)「幻聴」

電話の音が怖いのです。 家に帰ってシャワー浴びはじめるとき、最初のお湯が、シャワーのホースをあがってくる音と、給湯器がお湯を作り出すカラカラ言う音が、電話の音の様にきこえることがある、という話を誰としたのかは覚えていないのですけれど、僕にだ…

2002/10/10(木)「良きサマリア人」

世界で最大のベストセラー書に、こんな一節があります。 ある人がエルサレムからエリコへ下っていく途中、追い剥ぎに襲われました。その人は、追い剥ぎに身ぐるみはがされ、半殺しにされた上、その場に放置されました。たまたまその道を下って来たある祭司は…

2003/7/12(土)「死の義務?」

理想の最期、なんてことを追求出来る人は、実はこの地球上においては圧倒的少数派なのです。 僕がずっと腑に落ちなかったのは、例えば、死んでしまったクジラに対して、とてつもない金を当てて埋葬資金に充てたり、傷ついたイルカを保護するのに、専用のプー…

2003/8/6(水)「コンビニで葛根湯を」の前半

昨今の加熱する医療ミス報道やらなにやらで、患者さんの中には、自分の主張することがすべて認められないと気に食わなくて、なんでも文句を言えばいいと思っている人がいるのです。自分は病気で已む無く受診している弱者であるという顔で大いばりしているの…

2001/3/24(土)「卒業しちゃいました」

卒業しちゃいました。 国試、酒、国試、酒、国試、酒、酒、酒、楽器、酒、歌、酒、酒、楽器、酒、楽器、花束、学位記。 3/17から三日間に渡って行われた医師国家試験、その受験ムードに対応するべく、国試出発の週の頭くらいから、規則正しく図書館に籠もろ…

2003/8/6(水)「コンビニで葛根湯を」の前半

昨今の加熱する医療ミス報道やらなにやらで、患者さんの中には、自分の主張することがすべて認められないと気に食わなくて、なんでも文句を言えばいいと思っている人がいるのです。自分は病気で已む無く受診している弱者であるという顔で大いばりしているの…

2003/2/4(火)「マスコミとタミフル」

何でもかんでも病院にやって来るというのが、そもそもの間違いなのです。なんて言うと、すぐマスコミにかみつかれるんだと思います。しかし、そのマスコミの無責任なこと。ここのところのインフルエンザ騒動も、元はと言えばマスコミが悪いと思わざるを得ま…

2003/2/3(月)「インフルエンザお断り」

昨日は救急外来の患者がとぎれず、なかなか病棟にも顔を出せない多忙な当直でした。それでも外科系患者は緊急手術もなく、夕方くらいには一時的に途切れた時間もあって、まだマシだったのですが、熱発(発熱)患者が続々と押し掛けた内科系は、当直医師が「こ…

お医者のタマゴ日記(日刊タマゴクラブの前身)

1999/3/14(日)「コケノムスマデ」の前半 ショート・ショートという形式を不動の物にしたSF界の巨匠、星新一が、その中の一編で、君が代の歌詞をネタにしていたはずである。神話というものの中で触れたそれは、君が代が天皇の繁栄をうたったとか、広く国民…

2004/7/18(日)「第三次産業」の最後

さて、話は変わりますが、僕は患者さんの心付けとか、製薬会社の接待とか、そういうものが非常に苦手です。心付けをもらおうともらわなくとも、僕の医療は変わらないし、製薬会社に何をもらおうとも、僕が使うのは必要な薬だけです。もちろん、お金もお酒も…

2003/11/15(土)「信頼の医療」

基本的には人と人の信頼関係です。医者の技術はもちろんみな違うし、患者は故障したテレビではなくて、一人の生きた人間なのです。至極真っ当な医療行為でも、いくらかの割合で悪い結果を生むことは当然あるわけで、医療ミスと合併症は全く違う話です。かつ…

2003/1/13(月)「研究者」の後半

毎日将来のことを考えているのだと思います。医者を目指したのは高校3年生になってからでした。それを話すと、未だに、ろくに努力をせず医学部入学したかのようなとらえ方をする人がいるのですが、決めた時期はそれほど重要ではないと思うのです。とにかく…

1999/7/24(土)「行く川の流れは絶えずして」の冒頭

ナツヤスミを祝うかのような良く晴れ上がった空は、ハンドルの上半分を火傷しそうなくらいに焦がして、容赦なく降り注ぐ紫外線は、ちょっと油断すると、右腕だけ日焼けさせるのです。くそ暑い夏も、休みでありさえすれば、素晴らしい夏にかわるのです。

2003/8/6(水)「コンビニで葛根湯を」

昨今の加熱する医療ミス報道やらなにやらで、患者さんの中には、自分の主張することがすべて認められないと気に食わなくて、なんでも文句を言えばいいと思っている人がいるのです。自分は病気で已む無く受診している弱者であるという顔で大いばりしているの…

2002/2/23(土)「執刀医ザウエル」

9時から5時の勤務なんかで手術して術後診ながら、別の患者さんの相手もしたりなんかできるわけなく、大学のとてつもなく安い各科一律の給料で病院内をかけずりまわるような生活に耐えていられるのも、外科医としてメスを持つことを許される瞬間があるから…

2004/5/8(土)「日記書けない」-0568-

ちょっと前から、日刊タマゴクラブが重くなっていたのです。個人サイトなんて、基本的には、無責任な情報の垂れ流しだと思っているのですが、それでも医者と名乗って書き綴るものであれば、あまりにも公共の福祉からはずれたことは慎むべきだし、誤った医療…