東京医大病院で4人死亡
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20041211it01.htm
東京医科大学病院第2外科で、2002年10月から今年にかけて、男性心臓外科医(45)が担当した心臓弁膜症の患者4人が、手術後に相次いで死亡していたことが分かった。
医療ミスを疑った3遺族は、東京簡裁に証拠保全を請求。心臓弁膜症手術の死亡率は3―4%とされ、専門家は「極めて異常な事態」としている。
機械の修理じゃないから、なんでも数字通りってわけにはいかないし、手術レベルの差が、「ミス」になるのかどうか、とか、外科医という仕事につく僕にとっては、いろいろ重たいニュース。
僕は心臓外科にはほとんど関わっていないので、この手術成績がどんなものなのかは分からない。
僕は主に消化器外科に携わっているのだけど、もっとも怖いもののひとるに、消化管の吻合部が漏れてしまう縫合不全がある。患者の術前状態、術者の手技など、それをひきおこすのには様々な要因があり、どうしてもその確率を0%にはできない。0%じゃない限り、それは起こりうるし、「ミス」かといわれると困ってしまう。
最悪の事態のことばかり術前に説明するのもためらわれるけれど、簡単なように思えた手術がトラブルを起こすことは少なくない。
縫合不全や後出血なんて経験したことはないなんて言う外科医は、手術をしない外科医か、もしくは、支持率100%と言っている大統領と同じようなものだ。
もちろん縫合不全を起こしてもいいや、と思って手術しているわけではないけれど、縫合不全が全部ミスといって罪に問われるようなことがあれば、もう僕はメスなんて持てない。