2002-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「学会で」-0455-

今日の手術は、大腿ヘルニア一件のみ。麻酔科医がやって来る月曜日と水曜日にはメジャーなオペがガンガン入っているのが普通なのに、今日に限ってはかなり寂しいスケジュールなのでした。別の患者さんの術後肺炎のフォローアップをしたり、末期の患者さんを…

「患者の気持ち」-0454-

胃カメラ6件と回診を終えると、今日は奇跡的に大きな検査の予定も入っていないし、乳癌検診の予定も入っていないのでした。 そんな平和な日を狙って、やっぱり急患はやって来るのです。尤も、忙しい日にもやっぱり急患はやって来て、さらに忙しくなったりす…

「酒とベースとアガリクス」-0453-

土曜日の夜、あるバーで、久々にジャズライブをしたのです。ライブとは言っても、スタンスは呑み屋でジャズ、呑みながらジャズ。雰囲気的には公開練習のようなものかも知れません。 実は、器材を運び込み、いざ演奏をという段になって、病院の当直医からコー…

「ワザ」-0452-

これは僕の考え方だとかいう以前の、僕が僕であるための本質的なことに触れることなのです。それ故、僕は自分の凄く弱いところをみせたりすることのできる相手に対しても、ある限られた事柄に関しては演技し続けることを余儀なくされているのです。いつかこ…

「安らかに眠る」-0451-

ステルベンを待つ夜の気持ちは微妙なのです。癌という病気は、術中死とか突然死ということはあんまり無くて、だけど確実に死は忍び寄ってきて、最期に至る兆候はなんとなくわかるのです。僕らはそんな頃合い、患者さんの意識があるうちに、親しい人々の面会…

「別に暴言を吐くために匿名では無いのです」-0450-

ええと、見る人が見ればザウエルという人物がどこの誰だか分かるのだと思うのだけれど、敢えて匿名で、敢えて実生活とは関係ないところでサイトを運営しているという意味を考えて欲しいのです。 職務上知り得た秘密というわけでないにしろ、日常生活を描く上…

「心臓マッサージ」-0449-

実のところを言うと、自分の身内の死というものに出くわしたとき、人間なら当然湧き上がってくるであろう感情を、きちんと感じることができるのか不安だったのです。 死んでいるという状態を、僕らは理解しているはずで、かつて死はとても分かりやすいものだ…

「遠い」-0448-

大学は実家に隣りあう県に入学し、卒後もその県にとどまったのでした。地理的にはそう遠くないはずの場所なのです。大都市への道ではないので、電車や高速道路などは都合良く通っておらず、気長に車を走らせて4時間くらいかかる距離です。成田から韓国へ行…

「外道の外科」-0447-

外科医が外科医である理由とか存在意義とかはその名前通り外科的手技にあるわけで、僕らは手術やるために外科医をやっているのだけれど、毎日延々と手術に継ぐ手術だと、さすがに嫌になるのです。今日は大小計4件の手術を終え、病棟で術後管理、ボスは「何…

「東京への距離」-0445-

ハッピーマンデー。月曜日に休みが集中するのはなにかと不都合なんですが、とにかく今日が体育の日らしいです。 医学部の軽音学部のライブをちらっとのぞいて、「半宇宙」というバンドのライブへ。バンドのベーシストは、事あるたびに呑んだり遊んだりした仲…

「お釣りの渡し方」-0444-

今日は回診当番。僕の勤務する病院は、田舎でまわりにあんまりこれといった医療機関のないところに存在する2次救急指定の赤十字病院で、周囲の有名な温泉地なども含めた、かなり広域な医療圏を形成しています。連休などは、地元民のみならず、観光客が飛び…

「呑み屋でジャズ」-0443-

かつて、演劇というものに魅せられて、いつまでもその世界にいたいと思って、かつての仲間とどこかで芝居をやろうなんていう話に盛り上がったりしていたものなのだけれど、結局それは果たせずじまいだったのです。かつての仲間の中で、ごく少数の人間だけが…

「外科医として生きる」-0442-

例えば僕のひとつ下の研修医、たかだか数ヶ月しか働いていない彼らも含めてそのほとんどが、医者をやめてやると思う瞬間があるようです。自分の科の仕事が一番忙しいと思いこんでいることが多い一般外科医の場合、それに一段階おいた「外科医やめてやる」と…

「良きサマリア人」-0441-

世界で最大のベストセラー書に、こんな一節があります。 ある人がエルサレムからエリコへ下っていく途中、追い剥ぎに襲われました。その人は、追い剥ぎに身ぐるみはがされ、半殺しにされた上、その場に放置されました。たまたまその道を下って来たある祭司は…

「酒とタバコとお医者様」-0440-

医者の不養生。現在の日本社会の中枢を担う人々、いわゆるバリバリのサラリーマン達を思い浮かべれば、そんなもんなのかも知れませんが、医者っていう人々も、少なからず酒やタバコが好きなのです。嫌煙権とか副流煙とかいう、タバコの存在自体の善悪の論争…

「或る木曜日」-0439-

いつだったか忘れてしまったのだけれど、僕のある木曜日の生活。 予定手術の無い日に、仕事の整理をしたいところです。患者さんの部屋にいないときの僕らが何をやっているのかは分かりにくいと思うんです。大学一年生の頃、早期体験実習とかなんとかで、神経…

「医学部受験回想」-0438-

いや、唐突なんですが。 大学入学の時点では、もうなんか凄く大人になったような気がしていたし、十八歳という状態がそんなに大きくかわることなんて実感していなかったのですが、お腹が痛いといってやって来るティーンエイジャーたちは、明らかに僕とは違う…