「コミュニケーションスキル」-0286-

 あなたの趣味は何ですか、と尋ねられたら、何と答えますか? 私の現在の確実な趣味は音楽です。欧米人は概して、常日頃、これでもかというくらいの質素な生活をして、休暇となれば、一気に豪遊するのに対し、邦人は概して、日常もそれなりの生活を送りたいと考えるために、思い切った余暇を楽しむ余地が無くなるみたいです。仕事と余暇を切り離して考えるのも苦手なようですが、それは当然で、いわゆる学校教育が、趣味にまで貴賤があるかのような錯覚に陥らせているからです。

 我々医学を学ぶ者として相応しい趣味なんて議論は全くナンセンスであるにも関わらず、学園祭のレベルに至っても、医学と関係ないイベントは批判の対象になり、お祭りでありながら、自粛と規制の狭間で、まさかとは思いながらも、楽器一つ気持ちよく弾けないのです。クラシックは例外みたいですが。

 昨日は、スキー場にほど近い某地へ出向き、ジャズライブ。思いがけず、プロが招かれており、「当たり」のライブでした。さらには、セッションに混ぜて頂き、楽しい時を過ごすことができました。この世界では、肩書きと呼べそうなものは、自分のパートくらいのもので、年齢層も様々。よく顔を合わせる人々でも、実は楽器を弾いているか酒を飲んでいる姿しか知らず、プライベートなことはよく知らないことも多々あります。

 人のプライベートに触れることでしか人間関係を築こうとしない風潮は強く、良く状況を知りもしないで「希薄な人間関係」と吐き捨てる学識者達にこそ、もっときちんと人間関係について学んで欲しいと思うのです。コミュニケーションがうまくない人がネットに逃げる、なんていう表現も、理解されていないことの現れだと思います。実際に会おうが、ネットでやりとりしようが、電話での会話だろうが、それは立派なコミュニケーションで、コミュニケーションスキルのない人は、ネットだろうがなんだろうがコミュニケーションはとれないのです。相手はなにを通すにしろ、人間なんですから当たり前のことです。

 そんなわけで、いろんな形で、様々なプレイヤー達との関係が築かれるわけで、学校を飛び出して外のライブに飛び込むことは、私の余暇の貴重な過ごし方のひとつで、今後最も大切にしたいと思っていることなのです。

 悲しい現実ですが、コミュニケーションスキルまでスケールで評価しなくてはいけない、という流れが。医学教育の場において、患者さんとのコミュニケーション、診察の仕方についての評価スケール、OSCIは、今でこそ知らない医師、学生も多いですが、数年のうちに全国に浸透しそうです。