「フジロックフェスティバル」-0504-

 いままでずっと行きたくて行きたくてたまらなかったのです。日帰り可能な地域に長いこと住んでいながら、その機会をみつけるのが凄く難しかったのです。医者になってからは、たった一日の自由時間を得るのがもの凄く難しくなって、そんな状況は人間としておかしいと思いながらも、仕事最優先で生きてきたのです。

 目一杯遊んだマウスは遊ばないマウスに比べ、知能も発達し、長生きするのだという実験があったように思います。僕は決して、自分の仕事を放棄するつもりはないし、その責任についてもよく分かっているつもりなのです。だけど僕にはやっぱり、ずっと音楽を浴びているような時間が絶対に必要だと思います。

 外科医として、病棟勤務をしている間は、原則ずっとオンコール状態で、仮に休みがあったとしても、それは灰色の休みで、いつ呼ばれるかわからない状況にドキドキしていなければならないので、遠出はできないのです。この4月から半年限定で勤務しているICUでは、勤務時間外は、別の担当医が患者さんの治療にあたる交代勤務体制なので、僕は医者3年目にして、半年間限定で、初めて明確な休日を手にすることができたのでした。

 6月には、友人の所属する劇団、アンドエンドレスの芝居を観てきました。旗揚げ当時から行く行く言いながら、なかなかその機会を得られず、数年越しの約束をようやく果たした感じです。今月中頃には、学生のときは毎年出ていた市の七夕祭りの街頭ライブに、久々に出演しました。朝からビール。長髪のヅラ。ベース。シャウト。ビール。モッシュ。ビール。工学部の大学院生、医学部の後輩たちと一緒に、久々のロックでした。このあたりから、フジへの思いがだいぶ膨らんできてました。

 勤務調整をうまくやって、3日間あるフェスのうち、後2日に行けるようにしていたのですが、土曜日に後輩の結婚式があったため、結局最終日のみ行くことになりました。早起きして出かけたフジロック、一日中おおはしゃぎして、日焼けした肌と泥だらけの靴が残るのです。完全なる非日常。一日中音楽を浴びていられる山の中で、多くの大切な友人たちとその時間を共有できたのが、またなんとも言えず嬉しかったのです。「もったいなくて靴が洗えない」という気持ちを実感しているのです。

 朝一でビール買っても全然不思議じゃない環境。ビール持ってグリーンステージに陣取っていると、ラッキーなことに、プログラムになかった「マリ国立民族舞踏団」を観ることができて、その後、実はそれを浅井健一のバンドと理解していなかった「JUDE」を引き続き観ました。勢いで、ブランキー時代の曲とか演るかなとか思ったけれど、それはありませんでした。とにかく、予備知識なしでステージ観ていたら、見覚えのある男が出てきて、みんな「ベンジー!」って叫びだして、踊り出して、その宗教のような身の高揚感を持ったまま、ホワイトステージへ移動して「クラムボン」、軽く食事とビールを補給した後、レッドマーキーで「bloodthirsty butchers」観てまた酒飲んで、グリーンで「EVANESCENCE」を聴くともなく昼寝を挟み、別の場所にいた後輩の電話で起こされてホワイトへ移動し、「くるり」を堪能。そのまま「LEMON JERRY」で踊り狂い、オレンジコートの「渋さ知らズオーケストラ」を。最後は、ホワイトで「MOGWAI」を観た。スピーカーから出てくる低音は、そのまま音波として僕らの体を襲うのですが、その体感がもの凄く気持ちよかったのです。

 一日だけでしたが、とても充実していました。音楽と酒と非日常を愛する僕らへの最高の肯定のシャワーを浴びて、僕はまた、仕事への活力を生むところなんですが、翌日の日勤・当直は眠くて辛くて、26時間くらいの勤務のあと、明けで帰宅し、「まだ夏は終わらない」という気持ちで、髪を短く切るのです。髪を切ってもらっている間、眠くて眠くて眠りこけ、再度帰宅の後、夜まで寝ていました。

 さて、この夏は、とうとう僕の本が出版される夏でもあります。いよいよ配本が始まったようです。近々、毎日新聞東京新聞に広告を載せてくれるみたいです。また、最初の流通の受注状況ですが、全国約450店へ配本されるようで、早ければ8/1くらいには店頭に並ぶようです。もし店頭でみかけたら、是非、手に取ってみてください。

 また、メルマガ上で以下のような告知をしたのですが、ここでもお知らせ致します。

【寄付・モニター募集など】

(1)教育機関・公的機関・福祉施設の方へ
希望者に寄付を考えております。寄贈書籍を、大切に扱ってくれる方へ。
希望者があまりにも多ければ、みなさんへの発送は無理ですが、なるべく対応します。
感想など送っていただけると、とても嬉しいです。

(2)ウェブサイトをお持ちの方へ
モニター扱いのプレゼントを考えています。
ご自身のウェブサイト上で、この本の書評を書いて頂けませんか?
もちろん、痛烈な批判でも構いません。
サイト「ザウエリズム」から、あなたのサイトへのリンクをはらせていただきます。
冊子は進呈致します。

(3)予備校・学習塾関係者の方へ
団体への寄贈を考えております。(1)に準じます。

(4)出版記念オフ
医学・医療に関する話で盛り上がるのかどうかわかりませんが、もし、それなりの人数があつまりそうでしたら、企画を考えます。東京近辺で、土曜の夜。できるとしたら、8月か9月頃になります。未成年者が多い場合は、別の手を考えますが、基本的には居酒屋かどこかで。

(5)純粋なるプレゼント …についても考えております。
近いうちに、メルマガを発行している「まぐまぐ」を通して企画される予定です。

(6)その他、協力して下さる方々チラシなどお送りできます。
書店その他で、著者を招いてくださるところがあれば、可能な限り伺います。

 なんだか、出版=印税のようなイメージが強いようで、僕の一連の宣伝について批判的なメールも頂きます。「金の亡者のような方にだけはならないように」とか。多くの人が、本の話をすると、「印税」のことばかり話題にするようですが、果たして、素人が突然出版して、そんなに利益を得られるものでしょうか。協力出版のような形態の場合、ほとんどは赤字です。第一、僕が純粋に金儲けを考えるなら、本業である、医師免許をつかった仕事のほうがはるかに効率が良いのです。

 多くの人に読んでもらいたいという思いで、ウェブサイトやメルマガを発行しているので、その延長として、インターネットを利用しないような人の目にも触れる機会を考えたわけです。そして、もちろんつくったからには宣伝します。これは、そんなにおかしなことでしょうか? もっとも、メルマガやサイトの読者のかたは、ほぼ過去ログに全てが収録されていますので、本を購入しなくても、内容はすべて読めると思います。今後も、ログ消去の予定はありません。2003/5/27にも、同じようなこと書いてますが、今、僕が考えていることは、こんな感じです。

 追記。8bit codingというサイトの、日々コレというコンテンツで、本の紹介をして頂きました。この方は、「お医者のタマゴクラブ」が、もともと本だった時代に、イラストなど入れてくれていた方で、今回の出版のきっかけになったのも、そもそもが彼と本をつくろうといったことだったのです。