ゆく河の流れは絶えずして

 世界で一番嫌いなことは当直です。引っ越しはその次くらいに嫌いです。

 というわけで北米某所で絶賛生活の立ち上げ中なのですが、備忘録というか、もしかしたら誰かの役にたつかも知れないというメモ書きというかなんというか。まあ北米某所といっても国がいくつもあるわけでもなく、以下、国をぼかすつもりがあるとは思えない内容の記述をしていますが、まあそのあたりは適当にスルーしておいてください。

 私の仕事は基本的に海外から海外への直接横移動を強いられますので、直前に日本であれこれ準備するというのが非常に難しいです。そして日本においては本人が直接行かなくちゃダメとか、直筆押印の委任状「原本」が必要とかいう場面が多すぎていろいろと詰みます。今回も戸籍謄本だとか、日本での運転履歴の証明、無事故証明だとか、日本の銀行の残高証明だとかいろんなものを準備してくるのが望ましいとか言われていたんですがまあ無理でしたので、結論としては代替策講じたり無視したりしました。

 査証の取得は結果としてはまあそれほど手こずらずにできました。質問項目が多すぎるのと、オンライン申請のサーバが落ちまくるのには辟易しましたが。中東某国時代の同僚たちが、この国の入国やら通過やらで別室連行などをよく経験しているのでビビりまくっており、結果として私もSSSS発券されてました。ランダムの要素もあるといいますが、まあ多分この中東某国滞在歴の要素がでかいような気がしています。前任から経由地まではノーマル発券、経由地から新任地までのチケットのみ'SSSS'表記ということで、最初気付かず、トランジットの際にはじめて気付いてブルーになり、当初はお土産でも買おうかと思っていたのに完全に気分が沈み、ラウンジの隅っこで小っちゃくなりながら、SSSS発券にまつわるあれこれを検索しまくるという不毛なことをしていました。

 結論としては、経由地での登場前に荷物全部見せたくらいで、それ以上のトラブルはありませんでした。冷静に考えると、フライトチケット自体を提示する必要があるのはこの経由地のみで、任国入国手続きで敢えてチケット見せる必要はないんですよね。一度全体のセキュリティチェックは終えている状態で、搭乗前の通路で再度荷物検査、これは私以外のノーマル発券の方々にも行われていました。ただ、この任国行きのフライト以外で経験したことがないので多分目的国の要請なんだとは思います。私のフライトチケットは'SSSS'のところを黄色の蛍光ペンでしっかりチェックされ、荷物検査係にその旨も大声で伝えられました。機内持ち込み手荷物をすべて開いて見せ、体に金属探知機をあてられましたが、それ以上は求められず、'SSSS'の部分にはパンチ穴を開けられ、普通に搭乗できました。

 いつもパスポートに搭乗券を挟んだままにしがちなのですが、このときはカバンにしまい、入国審査には旅券のみ提示、結果として、特に別室行きを命じられることもなく、通過できました。

 新しい職場からのお迎えの方と合流の後、家が決まるまで過ごすホテルへ。なんてないことのないホテルが日本円換算で一泊25,000円もします。この国の物価高と、円安が重なった結果全てが高い。そういう国へ来てしまったのだから仕方無いのだけれども、つい日本円換算してしまい何を買うにも腰が引けてしまいます。

 クレジットヒストリーが無いと何も始まらないこの国ですが、駐在員の多くがANAJALが日本の信用情報を元に、この国のクレヒスゼロでもこの国のクレジットカードを発行してくれるというサービスを使っているようで、ご多分に漏れず私も、査証取得後、早々にANAカードを申し込んでいました。オンラインでの申し込み、必要書類のアップロード、あと指示された電話などが必要。この国に入国した日を起点に2週間程度でカードが届く見込み、というような説明を受けていましたが、入国翌日に職場に初めて訪れたらもう届いていました。その日の昼食くらいまでは日本のカード使っていましたが、その後アクティベーションなどを済ませて現地貨立てカードの使用に切り替えられたのは、余計な手数料を節減するという意味では非常に大きな意味がありました。ちなみにこれは事前にはよくわからなかったことなのですが、ANAの外貨立てカード発行に際しては新しいANAマイレージナンバーは付与されず、既に持っているマイレージナンバーに基づいてマイルが加算されるだけのようです。日本の他のANAカードは発行の都度別のマイレージナンバーが発行されるので、それとは明確に別の仕組みのようです。

 一応この日銀行口座も開設していて、実際にはもっと現金は持っていたものの、とりあえず30万円相当の現地貨を入金していたのですが、いろんな出費が大きく、すぐにもっと入金しておくべきだと後悔したのでした。すぐにでも前任地の銀行口座から生活立ち上げ資金を送金したかったのですが、「国際送金受け取りの設定にタイムラグがあるから数日待て」というよくわからない説明を受けていたので、素直に従いました。

 家の契約については、一軒家を借りたいのかアパートを借りたいのかによって探し方や手続きが若干変わってくるとは思います。アパートを借りる場合は、敢えて仲介業者を挟まなくても、アパート自体がリーシングオフィスを抱え、丸ごと管理しているようなケースも多いので、その場合は素直に直接リーシングオフィスに依頼して内見や申込みをすればよさそうです。ただ、とにかくクレジットヒストリーが無い場合は苦労します。それなりに信頼度は高いと思われる職場に収入証明を発行してもらいましたが、それは必要書類であって十分書類ではなく、最後までしつこく、「直近3か月連続の銀行ステートメント」を要求されました。赴任前に「残高証明」を準備してくるとよいとは言われていましたが、単なる残高証明では苦労しそうでした。金の出入りをみたいようです。

 前任地の銀行のオンラインステートメントは元々英語だったので、一応最新のものを持参したのですが、新しい任国のアパートが求めるほどの金額は出入りしておらず、心もとなかったので、一応それなりのお金が入っている、旧CITIBANK、現SMBC信託銀行(プレスティア)のステートメントをどうにか英語にする算段をして、最新1か月分だけ英語のステートメントを入手し、準備していました。これは、使用言語を英語に変えることで(残念ながら電話オンリーの受付)、以後、マンスリーステートメントが英語で作成されるということを知ったので慌てて手続きしたものです。既に作成済のレポートの言語は変更できないようです。

 結局、日本語でもいいから3か月分のステートメントを提出せよとしつこく言われた結果、プレスティアの他、一応メインで使っている銀行のステートメントを日本語で提出(たまたまマンスリーステートメントが発行される形式の銀行でした)しました。審査の過程をみていると(審査に使われた書類が後日アパートの管理サイトにアップロードされていたのを見た限り)、総残高というよりは毎月の'deposit'の額を計算しているようだったのですが、解約された定期預金の出入りなども'deposit'に計算しているようで、あまり意味のないことをしていましたが、恐らく日本の銀行の仕組みがよくわかっていないのだと思います。

 タイミングとしてはアパートの部屋も結構空いていたのもあったのか、その他いろいろ訳の分からないこと言われながらも、なんとか入居審査は通りました。きちんとクレヒスがある、自国民よりは多めのデポジットを追加で要求されるのが落とし所のようです。ちなみに、私が入居したアパートには、少し前に職場の同僚がアプライしたところ、クレヒス無ければ絶対ダメ、と言われたこともあったようで、いろいろとタイミング次第、担当者次第という気もします。
 
 本当は家具付きアパートで全て完結したいところ、この国ではあまり一般的ではなく、家具レンタルサービスはあるにはあるけれども買って捨てていったほうが圧倒的に安いという価格設定のため断念。そうは言っても寝る場所くらい確保してから引っ越さねばと思い、当初は引っ越しにあわせて家具が届くよう手配することも考えたのですが、職場のほとんどの人が、「予定通りに配送されることはありえないから、やめておいたほうがいい」と言うので、とりあえずエアベッドを事前に買っておいて、それを持ち込んで寝ています。その後同僚から使っていないダイニングテーブルセットを譲ってもらったので、椅子なし生活は脱しましたが、まだその他の家具は買ってません。

 なお、この国で生活するのに関連したIDだとか運転免許証だとかの手続きは、入国後しばらくしてから順次開始し、おおむね手続きが完了しました。ID関連の手続きにおいて、事務所に同行した現地職員によると、普段よりは質問が厳しめだったとのこと。たまたまなのか、別の要因なのかはよくわかりません。SSSS発券のこともあり、割と疑心暗鬼になっています。車社会なので車もそのうち購入するつもりです。同僚たちは中古車を購入しているケースが多いようですが、あんまり在庫も無く、価格も高めなのでしばし検討します。
 
 ANAJALの現地貨立てカードでクレヒスを積み上げた後、別のクレジットカードを作っていくのがこの国に駐在する日本人の一般的コースのようでしたが、そのためには数か月は待たなくてはなりません。Amexは、昔は日本のカード持っていると電話一本で切り替えてくれる、みたいなサービスをやっていたことで有名だった気がしますが、ある友人が何年も前に渡米する際にAmexに聞いたら、そのサービスはだいぶ前に終了したと言われた、そうです。少なくとも現在においては、他国のアメックス利用に基づく信用情報を使って審査してくれるという’Global Transfer’という制度が公式サイトにも記載されています。いろいろ思案した結果、早めにAmexを入手したほうが利点が多いと考え、この仕組みを使って申し込んでみました。あとでいろんな情報追加するのも面倒だと思い、下手に取りたてのID関連情報を追記したせいか、先方でうまく情報照合できなかったようで、結果として、センターに電話をすることを求められました。英語で電話する、という作業を避けたいがための行動が裏目に出たような気もします。電話では、本人確認した後「明日もう一度電話しろ」と言われたのですが、翌日、電話する前にメールで追加資料の提出の指示が来たためにそれに対応したところ、その翌日に審査完了しました。今後カードが送られてくる、らしいです。いろいろ使い道があるので、日本のカードも維持するつもりですが、この国発行のカードは、正直日本のカードを維持するのがバカらしくなるような好条件であることが多いです。

 先日、日記猿人日記才人で繋がって以来の古い友人にこの国で再会しました。前回は日本でお会いしたのですが、その時にも久しぶりの再会だったんだよな、と思いながら古い日記を確認したところ、今回16年ぶりの再会のようでした。16年! 季節感の無い人生をだらだらと送っていて、時間の感覚もよくわからなくなってますが、まあ、私が何をしていようが時は容赦なく流れていっている、ということだけはよくわかりました。

 まだいろいろやらなければならないことはあるのですが、とりあえず生活立ち上げのメモです。