生活の立ち上げ

 中途半端にぼかす意味があるのかどうかよくわからないけれども、なんやかんやで私は今北米某所におります。海外での勤務としては4か国目。
 最初の国はまあいろいろと治安上問題のある国で、住居は強制的に指定されたホテルだったので、ある意味で生活の立ち上げは非常に楽でした。ちなみにこの国にはいまだに一部の荷物がおいたままになっているのですが、取り戻せる日がやってくるのでしょうか。内戦状態がわりと膠着していて、先が見えません。2か国目は当時外国人が住めるようなところがかなり限られていたので、着任前にサービスアパートメントを予約しておいてもらって、車とドライバーは前任者から引き継ぎました。これも立ち上げとしては非常に楽でした。3か国目は新型コロナウイルス感染症流行下のロックダウンの真っ最中で、臨時便使って赴任し、入国後強制隔離、役所もまともに機能していないために諸手続きが遅れに遅れた結果、銀行口座とか家とか車とか揃えるのにそれなりに時間がかかったのですが、家具付きのアパートに入れたのであんまりあれこれ買い足す必要はありませんでした。
 4か国目にやってきて、今までにないくらいの様々な書類を求められた上で、なんとかアパートの審査にはとおったのですが、家具付き物件はほぼ無い中で、まっさらな部屋にこれからあれこれ買い揃えなければなりません。しかし、私、それなりに信用度が高いと思われる職場にいるのですが、その職場の雇用証明、収入証明を提出してなお、追加で銀行口座の連続した3か月分のステートメントだなんだを求められました。日本から直接の赴任ではないため、あれこれ都合よくは揃えられない中で、可能な範囲で英語の書式で入手を試みて提出したのですが、最終的に不足分は日本語でもいいから出せと言われ、ネットバンキングから直近のステートメントダウンロードして送りました。畳の部屋ならまだしも、冷たい床に寝るわけにもいかないので、周囲のアドバイスなど聞きつつ、ネット通販でエアベッド買って、ネット通販で仮住まいのホテルに送ってもらいました。本当は引っ越しの日にあわせてうまいこと家具を搬入してもらいたいところ、周囲に聴取する限り、スケジュールをあわせるのは期待薄、とのことなので、とりあえず最低限の物を持って入居してからあれこれ考えることにしました。
 そしてまあ、この国の物価が高いというよりは、日本だけ世界から取り残されたデフレ経済というような気もするのですが、事前情報としてわかってはいたものの、買い物や食事をするたびに、つい日本円に換算しては哀しい気持ちになってしまいます。もうこういう世界なのだからこの世界の経済観念の中で判断すべき、とは思うものの、頭でわかっていても体が受け付けないという状況です。そのうち慣れるのでしょうか…