血液型

そういえば、いまだに「お医者のタマゴクラブ」の以下のテキストの血液型の記述に「科学的に云々」というおしかりのメールをいただくことがありますが、文脈からわかるようにお遊びです。「教授」がお遊びだったかどうかは不明ですけど。

http://homepage1.nifty.com/zaw/z/egg/23.html
Episode 23【放射線と血液型】より

 さて、何でも興味を持った結果、教授は血液型で性格を語るのが大好きなのです。ポリクリ初日には、ポラロイドで学生の写真をとり、そこに血液型付きのプロフィールを書き込ませ、
「お前は思いこみのB型だ」
とか言ってご満悦のご様子。

 医学者が血液型と性格について語るなんてナンセンスという人も多いでしょう。もちろん現段階で、科学的に血液型と性格に関連性があると信ずるに足る証明はできていません。しかし、こと血液型性格判定に関しては、肯定側も否定側もやたら感情的に持論を語ることが多く、反対派としては、たかだかA、B、O、ABの四つの型で判断できるとしたら、世の中には四つの性格系しか無いというのかということを言ってくるわけです。まあ、果たして関連があるか無いかなんて、今の段階では分からないというのが正しいでしょう。関連が無いと言い切るにもやはり、全部を一切否定できるきちんとしたevidence(根拠)が必要なわけです。事象は無限にあるので、原理的に検証不可能ですが、宇宙の果てを見ずして「宇宙人はいない」と言い切ることが出来ないのと同じで、あるいは、世界の果てを見ずして、地球は平らだと言い切った時代があったことを踏まえて、完全否定するまでも無いと思っただけです。お遊びとして使う人々を、目くじら立ててバッシングする人々も、何を目的にしているんだかわかりません。ちなみに、医学界では、経験学とパターナリズムからの脱却、EBM(Evidence Based Medicine)なんて言葉が流行りです。

 あの人たち、血液型は一緒だけど、性格は正反対だよね、なんていってみても、性格というものが明確に定義できかねるものである以上、何を持って反対なのかよく分からないです。何を持って「優しい」とするか、何を持って「冷酷」とするか。そんな中、精神科領域なんかは、他科が数値化して検討することができるようになってきた中、その曖昧な性格の部分を最大限利用して、診断、治療しなくてはならないのですが。ひとつの目安として、性格の判断には、心理テストなどが用いられますが、精神科分野で広く用いられているテストであっても、結局は絶対的判断が可能なものじゃないのです。気分によって変わるだろうし、気分が変動する中のどの地点が性格とされるかも難しい点です。

 よって僕は、血液型と性格の関連性が、今言われている全ての面であるとは言えないにしても、何らかの関連性がある可能性は否定できないと思います。DNAレベルで、脳領域になんらかの影響を及ぼすものがあるかも知れませんし、あと、世間的に「A型はどういう人間」という認識があるという環境があるので、各人が無意識下にそれに影響される部分があるかも知れません。もちろん、文化、環境によって大きく異なって現れると思われるので、繰り返し言うと、「自由奔放なB型」という図式がそのまま当てはまるかどうかは別問題。いずれにせよ、相手をみて、人によっては凄い確立で血液型を言い当てたりすることができるという事実は、なんだか面白いと思いませんか?

 以前放射線科をまわっていた学生を、ある医師が
「あれはA型はA型でも、主張するA型だね」
なんていうふうに、基本性格とでもいうべきものにトッピングを加え、勝手な評価をしていたのですが、これを使えばなんでもありです。ポリクリ班内で、一時期流行語にもなりました。
「君は強気なB型だね?」
とか、もはや最後の血液型の部分は関係無く、最後に血液型を付ければ何を言ってもいいと言わんばかりに激しいバトルが繰り広げられるのでした。