カルテをきちんと書くということ

 たぶん研修医のときにやらなかったこと(できなかったことではなく)は一生やらないでしょう。新しく医師の道を歩き始めた後輩たちへ。とにかくカルテをきちんと書くことからはじめてください。
 継続して診ている患者よりもむしろ、一回しか診ないかも知れない患者に対して、僕はよけいに神経質になります。自分が常勤の病院で、患者さんを入院させるというのが、実は一番楽です。長い時間をかけて、いろんな可能性を探れますし、まずいことがあった場合のフォローアップもできます。逆に、後を自分が診ないということは、一回限りの真剣勝負。後からいろんなことをカバーすることは基本的にできないのです。もちろん、その一回で必ずしも正診や正しい治療にたどり着くというとは限りませんので、患者さんやその家族、また、後を引き継ぐ人のことをよく考えておかなければならないのです。
 固定では行かないようなバイト先の病院の、一回限りのカルテというのには、その医者の姿が詳細に浮かび上がります。一度の外来で解決できるものはまあ良いとして、それ以外は基本的には、その場をしのぐということになります。同じ「その場をしのぐ」ということでも、もう明らかに、自分以外の誰かに丸投げというようなケースと、後に繋がるいろんなものを残しているケースにはっきりわかれていて、それは普段のカルテや検査依頼書の書き方などと密接に関係しているような気がします。
 僕はカルテのいい加減な医者を決して信用しません。

カルテを書けない医者たち

http://d.hatena.ne.jp/zaw/20051228#p1