「21世紀最初の」-0367-

 明けましておめでとうございます。さすがに少しだけ帰省してました。来年以降、そうそう都合良く休みがもらえないことを考えれば、帰っておくべきなのでしょう。

 独り暮らしというのは不便なことも多いけれど、今の僕には、その利点のほうがはるかに上回っているということを気付いてしまうのでした。実家大好きという同級生も一杯いますが、僕にとってはどうにも窮屈な感じが否めません。今更反抗期でもないですが、すっかり下宿での独り暮らしに慣れてしまったのと、血縁という逃げようのない縛りを必要以上に鬱陶しく感じてしまうことで、本来骨休めの場所でもあるはずの親元を、僕は、かえってストレスを溜めてしまう場所にしてしまうのです。室生犀星が「ふるさとは遠きにありて思ふもの」と詠ったその心境とはだいぶ違うのでしょうが、字面だけの意味では、現時点で同感です。

 遠い遠い未来、しかし、いずれ自分が到達できる未来としての21世紀を迎えたわけです。どちらかというと年度の変わり目こそ、自分にとって世紀の変わり目をより感じます。特に、あと一つ残した卒業試験をクリアすれば、晴れて18年間の学生生活にピリオドを打ち、国試に合格すれば、春からは見習い外科医としての人生、まさに新世紀を新環境でスタートするのです。

 無事、21世紀最初の医者になれるよう、今はただ精進です。気分だけは盛り上がって、「21世紀最初の」という響きが、確実に自分たちの時代の到来を予感させるのでした。と、月並みな文章。