「初盆」-0506-

 お盆に帰省するのなんて何年ぶりなんだろうか。帰省、といってもとんぼ返りだ。昨日も当直、明日も当直。当直と当直の合間をぬっての一瞬の帰省。今年は、母方の祖父母の初盆となる。

 ただ、正直言って、今の僕にとって、これくらいの滞在時間がちょうどいい。ふるさとに住むことなど考えてもいない。友人や知人は、今住んでいる場所に集中している。そういう意味では、今の住所が僕の第二のふるさと。

 家族にも、僕の全てを表現してはいない。僕は両親のコピーではない。僕の大部分の拠り所として、あるいは無条件に受け入れてくれる場所として、家族やふるさとはあるのだけれど、残念なことに、それはあくまで「大部分」であって、「全て」ではない。例えば、親しくないからうち明けられる秘密、という矛盾もあると思う。全てを開け広げることはが、いつも最良の手であるとは思わない。僕にとって、そういうところにまで入り込む、田舎ならではの干渉とか古い価値観が重荷になることがある。

 僕はおそらく、もう少しこの地で生きていくけれど、僕の人生において、様々な選択枝や文化や情報を与えてくれる場所で暮らすことが、とても重要に思えることが多くなってきた。例えば、ひとつの選択枝として、東京に住みたい。

 僕にとって、「外科医」という今の立場は、僕を構成する要素のひとつに過ぎず、それを最優先にして、僕の他の部分に犠牲を強いることは、本当はとてもつらいことだ。なかなか難しくて、結論がでない。

 先日、新宿で大きな飲み会に参加してきた。例えばこれは、僕が今の場所に住み続けることでは解決できないおおきなテーマのひとつでもある。飲むことが、ではなくて、それを構成する人とか文化とか人生とかいうことが。

 追伸。「お医者のタマゴクラブ」が、丸善で、8/5 知的好奇心をくすぐる30冊というのにとりあげられていました。8/2の東京新聞に大きめな広告が、8/3の毎日新聞に連合広告が載ったようです。その他、個人サイトなどで言及してくださった方々、ありがとうございました。是非感想をお聞かせ下さい。