「桜の季節に」-0561-

 毎日誰かと杯を交わしていた。

 もうしばらくは、こうして毎年引っ越しを繰り返すような生活を続けるのだし、仕事でも、プライベートでも、すべて自分だけの責任において時間の使い方を考えて、個人の時間を過ごすという生活を望んでいる一方で、僕は最近、どうも一人で時間を過ごすのが苦手になってきているのだ。それは純粋に、家族という枠から飛び出して、一人暮らしを続けて、十年目の春を迎えることによる時間的限界なのか、あるいは、今までの環境を捨てて、新幹線で30分とは言え、別の環境へ移るということへのストレスなのか。

 九年間を一人で過ごした地は、寝る場所が一人だったというだけで、様々な友人・知人に囲まれて生きていて、名残惜しい人々とたくさん話したり、一緒に音楽を演ったり、ビールのグラスを響かせたりしている瞬間に、久々にかなり大きな寂しさを味わったのだ。長く大学生活とペーペーの医者生活を送った地に限界を感じて、その田舎故の閉塞感を心の底から鬱陶しく思ってみたりしながら、その地を去る段になって、いいようのない寂しさを感じるというその矛盾。

 まあだけど、僕はとにかく前へすすむ。麻酔科の指導医たちは、「君は麻酔医としても目がでるよ」と最大限の誉め言葉を持って送り出してくださった。この3ヶ月間で経験した、百数十例の麻酔チャートを眺めていると、その時の流れと、僕が確かに歩んだ道がみえてくる。

 明日から外科復帰。

 以下楽しかった年度末の個人的メモ。3/6-7老神温泉呑んだくれツアー、イチゴ狩り。3/13ライブ「温泉ビルヂングス」懐かしい人々たくさん。3/14新宿でご飯。ある区切り。僕負けない。3/16新職場へ申し送り。…呑み。3/18-19全員揃わない練習2回、3/20軽音引退ライブ強行参加。ゆらゆら帝国。その足で、高田馬場。…予定外にオール。3/22外科送別会。3/23卒業式。早速引っ越す後輩とご飯。3/25ミニ送別会。呑み仲間申し送り。3/26麻酔科送別会。3/27弓道部追い出しコンパ。3/28引っ越しと花見のハシゴ。後輩宅泊。3/29九年間通った店で今年度最後の呑み。3/30麻酔科最終日。つきあってくれた皆さんありがとうございました。