重傷者の転送年間10万人以上

<救急医療>重症患者9000人が転送 実態10万人以上か
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060319-00000007-mai-soci
 3/15に、中途半端な病院で当直するときの苦悩を書きましたが、実質「二次救急」と言われていても、バイト医が当直していてバックアップは原則無し、かろうじて「技師呼び出し」でレントゲンなど対応し、手術や専門的治療は対応不能という施設がたくさんあるんですよね。その点、三次病院で当直していてひっきりなしに患者が運ばれてくるのは、それはそれでストレスではあるけれど、検査がすぐできたり、オンコールの医者を呼び出せるというバックアップがあるのが心強かったりもします。
http://d.hatena.ne.jp/zaw/20060315#p3
 追記:10万人という数字にだまされそうになるけれど、割合でみると、おおむね適切なトリアージ(振り分け)がなされているようです。この記事も、医療の集約化へ向けた布石なのでしょうか。世の中3次病院ばかりだったらそれはそれで困ると思うんですけれどね。3/15に書いた内容も、あくまで「明らかな重症者が、明らかに対応できない病院へ運ばれてくることに対する苦悩」であって、そういう患者さんがすみやかに高次病院へ運ばれ、その分、3次病院をいきなり受診してしまうような軽症者を、1次、2次でうまく受け入れられれば良いと考えています。記事では、なんでもかんでも3次病院へ、という論調になっていますけれど。
 ちなみに、救急指定とは、1964年の「救急病院等を定める省令」に基づき、都道府県知事が告示する病院で、その要件は、
1.救急医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。
2.エックス線装置、心電計、輸血及び輸液のための設備その他救急医療を行うために必要な施設及び設備を有すること。
3.救急隊による傷病者の搬送に容易な場所に所在し、かつ、傷病者の搬入に適した構造設備を有すること。
4.救急医療を要する傷病者のための専用病床又は当該傷病者のために優先的に使用される病床を有すること。
というかなり大雑把なものです。これを、もう少し現代に即したものにするべきだと思っています。これでは、「バックアップなし一人体制、レントゲンはあるにはあるが、技師は呼び出し、病棟看護師が救急外来におりてくる」という体制も、「内科系、外科系など、常時数人当直体制、ICUあり、救急外来専属看護師、緊急CT、MRI、血管造影可能」という体制もひとくくりなんですよね。