- 作者: 山内マリコ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/08/24
- メディア: 単行本
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僕の場合は、都会への憧れというのは、情報があまりにもないせいでむしろなかった。地元に国立の医学部があったらその世界の中で完結していたかも知れない。大学もまた田舎だったけれども、狭く完結したコミュニティから脱出してみていろんなことに気付いたのと、僕のちょっとした事情故に、今頃になって都会に出てくることになったわけだけれども。
大学入学以降、僕の地元との繋がりというのは極限まで希薄になっていたのだけれど、最近facebookきっかけで十数年ぶりに中学の同級生と再会したりする機会があった。実家へ帰ったり、古い友人と再会するようなときに感じた哀愁とかトラウマとかもやもやとか、おんなじような感覚をこの短篇集から直球で受け取った。
ある方が、正しく描かれているからといって救いになるわけじゃあないと思ったというようなことを書いていたけれども、僕も全く同じような感想を抱いた。