11:00p.m.「合格」-0013-

 疑惑の試験結果は、逆転合格だった。

 教務などにこちらの意向はすべて伝えた。今回の経緯の説明と、今後の対応。謝罪の意向の有無。誤りであることが判明したはずの掲示がそのままであることに対する疑問と抗議。手作業での採点の結果、10名ほどの誤りが判明、合格となった。裏でどういう話が通ったかは知らないが、先ほど、電話にて成績保留が誤りであった旨の報告と謝罪、さらに、きちんと教授の名前入りでの謝罪文の掲示をするということを伝えられた。とりあえずは、良かった。月曜日までに、学部長宛に、今回までの一連の問題について、文書で、学生側の意見をまとめて提出することになっている。

 結局、医学部という世界は、今の教師は、将来の上司で、どうしても学生が絶対的弱者になってしまう。訂正してやったんだからいいだろうというのが、いままでこのような問題があった場合の対応だった。恐らく、今回は前代未聞の人数を巻き込んだ事件であり、こちらの要求が耳にはいったのかどうかは知らないが、とりあえずの一歩前進である。ただ、ミスの人数が少なかったら、もしくは、学生側が勇気を持って苦情を申し立てなかったら…どうなっていたかは分からない。今回、マークシートの半分しか読んでいなくて、実際の半分の点数がはじきだされたという。中には、発表を見て精神的に少なからずショックを受けていた者がある。そういうことを軽く考えないで欲しいとは言ってきた。教授からみたらただの紙切れ一枚のことなのだろうが、僕らにはいろんなことがかかってくる。奨学金、授業料免除にかかわる経済的問題もあるだろうし、またその他のことも。