「たたかうひとたち」-0083-

 瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ

 故あってこの句にずっと惹かれている。また、百人一首では、一字決まりの札であるから、これを覚えておくと一枚取れる。まずは、ただの音としてこの句があり、それから意味がついてくる。百人一首七十七番目の句。言葉の意味だけなぞってみると、恋の歌かと思ってそれまでだ。

 第七十五代崇徳天皇は、近衛天皇擁立のために、23歳にして心ならずも譲位。後に保元の乱を起こして破れ、讃岐に流された。流れがはやいので、障害にぶつかって、志ふたつに引き裂かれようとも、その先でまた一つになって突き進むという、激しい思いが目に浮かぶ。激しい流れは、そのまま海に流れ出て遠き地からは戻れなかった。

 ところで、最近はウルトラマンも無条件で人間の味方をしてくれるわけでは無いようだ。青いウルトラマンは、地球の叫びをきき、愚かな人間を滅ぼして地球を守ろうと考えていた。よくあるような話ではあるが、子供が見る番組で、絶対正義と絶対悪を定義しないというのも難しいかも。前にも書いたが、やなせたかしアンパンマンバイキンマンは決して絶対正義と絶対悪では無いと言っている。小さい頃見た「秘密戦隊ゴレンジャー」で、確か機関車男だか汽車男とかいう敵が出た回、結局、その敵は倒されることなく去っていく。「シュシュポポシュシュポポ、どうせ俺はレールの上を走ることしかできないのさ、シュシュポポ…」…完全な勘違いかも知れないが、私にはこんなシュールなゴレンジャーを見た記憶があるのだ。深い。

(補足:機関車仮面でした。ゴレンジャーが攻撃をすると「列車妨害は罪が重いぞ!」と叫んだり、最後は「俺の時代は終わった!」と爆発した。東京の街を暴走しても、誰も気付かないというシュールな回。-1999/2/21)