「リッケンとグレッチと」-0136-

 ヴォーカルだったり、キーボードだったり。ギターもドラムも、そしてベースも何でも器用にこなしやがる彼は、高校時代の友達と、下北沢でライブをしている。ニルヴァーナバンドでは、ギターヴォーカル担当。で、本格的にベースでバンドをやるのは初めてみたいで、この度小生意気にもリッケンバッカーを購入したのだ。エレベは相変わらずピエゾしか持ってない俺。今日の練習のときも赤いリッケン借りちゃいました。エレベもいいな。いいジャズベを一本買おうかな。ウッドベースか、サイレントベースか、はたまたエレベを買うべきか。それより先にバイクも欲しいが、何と言ってもしばらくバイトもしてないので、そんな贅沢をする金も無い。

 またある後輩に、椎名林檎バンドのキーボードを頼んだのだが、「丸の内サディスティック」のヘビーローテらしいのだ。で、リッケンときくなり、「リッケン頂戴とかいうあのリッケン?」と、歌詞になぞらえておおはしゃぎなのである。グレッチで殴ってのグレッチは無いんだけれど。

 しかしいい身分である。今日も実質弓をひき、ベースをひいただけなのだ。全く持って非生産的。弓道部、10人を超える新入生を前に、いいかげん顔はなんとか覚えたものの、名前はいまだよくわからん。80年代生まれのみなさん。

 ここのところしばらく自炊してたので、今日の夜は久々の外食。弓道部の面々とは、部活のあとにニルヴァーナ練習したので行けなかった。同級生と飯食いながら、いつもと変わらぬポリクリ(実習)話と2001年国試改正話と、将来どうしようかという漠然とした話。一口に医者といってみても、診療科によって、病院によって、仕事の内容は大きく違うのだ。まあ、なるようになるし、なるようにしかならない。今から難しくなるという国試に憶測並べてびくびくしててもつまらない、と私は思うんだが。根拠はないが、万事大丈夫な気がする。幸せな性格か。

 そういえば、病棟で、あまり昼間患者さんが寝ないようにしているという話をきいた。昼間寝た分、夜眠れないと、病院という場所のマイナスイメージも大きく関係し、自分の病気のこととかその他の不安が大きくなって、精神衛生上良くないというのだ。「君らも眠れないといろんなこと悪く考えちゃったりするでしょ?」という問いに、「いや、布団に入るとすぐ寝ちゃうんで」と答えた俺達だが、それを問うた医師の言う通り、幸せなんだろうな、いろんな意味で。健康だから言えることだとも思うし。病院というサービス業が、他のサービス業と大きく違うところは、病院にはやむを得ず来るという点だ。患者さんがいろいろ気に障ることを言ってきたからといってそれに対して冷たい対応をしたり、怒ってしまったら医師の側の完敗だ。相手は、病気を抱えて、心ならずも弱い立場に置かれているということ、つい忘れがちなんだよね。

 (補足:リッケンもグレッチもメーカー名です。椎名林檎の意図するところは、敬愛する「ベンジー」こと浅井健一の「グレッチ」のギターと、リッケンバッカー620というギターだと思われます。ところで、我々軽音のライブでは、林檎のコピーバンドと、ブランキーコピーバンドが同じステージに出演しているので、状況設定はばっちりです。但し、誰もグレッチを使ってませんが-990905)