「お酒のおいしい日」-0138-

 こんな暖かな日は、爽やかに自転車でお買い物なのです。買ったのはシールドと五線譜ノートなんていう色気の無いものでしたが。高校生と並んで自転車なんかで走っていると、なんだか懐かしい気持ちになってきます。っていうか追い越したくなってきました。はい、そこ、ちょっと邪魔だよ、追い抜くよ。ささやかな征服感ってやつです。嘘です。

 汗もかいたので、喉が乾きました。とりあえず、弓道場に立ち寄って自主練を見学しながら雑談します。先輩も言うように、なんだかビールが飲みたくなってきました。もう飲まずにはいられません。お酒が売ってるお店はちょっと遠いです。目と鼻の先の法医学の教室には常備してあるはずです。ここは女の子を送り込んでもらってきてもらいましょう。

 …と、わりと冗談ではあったのですが、仲のいい院生に「ねえ、ビール頂戴」というわりとストレートな物言いをして、見事缶ビール4本を入手してきたのです。「いま、ビンのやつ切らしてるから、缶でいい?」という返事だったらしいです。実習のあと、解剖のあと、「消毒だ!」と言って酒盛りをするという噂の法医学教室、さすがです。まだ日も落ちていないうちから、しかも教室でもらったビール飲んでる俺達もなんだかね。よく冷えてました。冷凍室の前で冷やされていたらしいです。法医学の冷凍室って何を冷凍しているんでしょう。ふと気付くと、自主練していたはずの1年生の姿が見えません。なんででしょうね。

 そのあと、病理学の教授にちょっとお話ししたいことがあったので、伺ったのですが、なんと酒盛りしてました。教授のお誕生日会らしいです。「ザウエル君、ちょっと座って飲みなさい」というので、ちゃっかり座って日本酒とかごちそうになりました。結局用事は果たしていないのですが、よく考えたら、ちょっととはいえ、ビールが入った状態で教授のところへ伺おうとしていた時点で何かやばいので、酒盛りしていて助かりました。というよりは、何か鼻がきいたのでしょうか。

 ちょっと幸せ。