「高額医療の粋を集めたあの部屋で」-0145-

 はい、僕は今日も生きてます。ライブでやったリフの部分を頭の中でぐるぐる回しながら、今日はICUで実習なのです。夢でもリフ弾いてます。真のヘビーローテ。リフだけ。

 ICUといえば、集中治療部なわけですが、高度かどうかはさておいて、紛れもない、高額医療の粋を結集した魅惑のルームであることは確かです。魅惑かどうかも分かりませんか、そうですか。実は、保険適用は2週間らしいのです。一度回復して帰って来た人も、足して2週間とかいってました。かといって、ICUにいるべき人を追い出すわけにはいかないので、病院に赤字を計上しながら、今日もICUは稼働するのです。ここらへんは、日本の利点であり、欠点なのです。

 やたらアメリカの医療はどうだとかいってみても、所詮金持ちしかいい医療が受けられないのが自由診療であって、貧乏人には贅沢な望みなのです。そう言う点では、問題は多々あれど、保険診療の大原則は、平等な医療という面では欠かせないシステムだし、入院など、かなりの負担ではあるけれども、年間ある一定以上の医療費は控除されるというシステムが助けてくれてはいます。

 そんなわけで、一泊7万円ともいわれるICU滞在費は、15日目からは病院の負担です。ICUに限ったことではなく、保険適用というシステムは、どんなに使いたい薬があったとしても、高くて出せないという自体も生むし、検査だって際限なくやるわけには行かなくなるのですが、これはさっきもいったように、欠点でもあり、利点でもあるのです。その点医者が職人技を見せるところであり、低予算ながら技術が補い、すばらしい家を建ててくれるのが腕のいい大工さんであるように、無用な検査やら薬なんかは極力使わずに、しかし病気はきちんと治すのが腕のいい医者なのです。ただ、いくら安くても雨漏りのする家では意味が無いように、必要な事まで削って、治療が不完全であってはならないわけです。見積もりいくらまで国が認めるかというラインはかなり重要なポイントではあります。

 ところで、結局腎臓が働かないからバカでかい濾過装置つけてみたり、呼吸がだめだから人工呼吸器つけてみたりしてるわけですが、そんな全てが生まれたばかりのあの赤ちゃんの中にすっかり収まっているのだと思うと、つくづく生き物っつうのはすげえやと思いました、終わり。