「隠れ蓑」-0157-

 前振りも無く、オーバー30度の毎日が、急に梅雨らしい気候になったりしました。一日で十数度の気温の変化って、本当にここが温暖湿潤気候であると言い切ってよいのでしょうかね。あと日較差も尋常じゃないかな、このへんは。

 第一外科のポリクリは、研修医にぴたっとくっついて歩く実習でしたが、二外ではそんなこともなく、割と時間が空いたりします、学生はね。まあ、今日もカンファ以外はとくにやることもなく、夕方からは軽音のほうのバンド練でした。

 本当は、今日は飲む予定だったのですが、主賓が二日酔いであることや、寒い日より暑い日のほうがビールがおいしいというよくわからない理由から、延期ということになりました。心配しなくても、明日は対抗戦の前夜祭たるコンパがあるのです。隣の県から弓道部がやってきて、対抗戦を行うのです。毎年恒例の射会で、主管は持ち回りです。試合の前に飲むということは、つまり、前日からすでに試合は始まっているということなのです。まあ、無理なイッキ飲みはやめましょうね。自分を良く知っている人が、勝手に飲むのはまあ、結構ですけどね。

 新入生の芸というのは、別に部活に限った事じゃなくて、医局に入る際もするんですよね。どこの世界でも新人は一緒です。その練習もちょっと見に行きました。去年の続編で「弓道戦隊ユミレンジャー」らしいです。路駐していたら、同級生から携帯に「今どこ?」っていう電話が入りました。近くに何を取り締まっているのか、パトカーがずっと停止しているらしく、恐らく飲酒かなにかの取り締まりだとは思うのですが、普段いない場所にパトカーがいる気味悪さから、路駐の車は引き上げ、1年生たちより一足先に帰らせてもらうことにしました。

 ところで、全く関係ないですが、元来の性格がそうさせるのか、時に自分の言動がもの凄くきつくなってしまうのです。ここのところ、立て続けに、面倒なことが舞い込んできて、例えば関東大会の主管であったり、例えば新しいテストに対する意見書のまとめだったりするのですが、正論ではあるにしろ、自信を持たないよりは持ったほうがいいにしろ、そんなことを隠れ蓑にして、本当は自分のストレスをきつい言葉に込めているのかも知れないのです。

 自分がきついことを言われたことはどうにでもなりますが、自分が発してしまった言葉に関しては、取り返しがつかないんだから、よく考えろ、って、しつこいくらい親には言われてきたのです。自分がいつの間にか、言われた相手からは、なかなか口を挟みづらい、5年生という上の学年にいることを自覚すべきときなのでしょうか。

 白衣を来て歩く姿が偉そうだ、とか、見かけはすっかりオーベン(指導医)だ、とか言われている自分を振り返ると、それは単に見かけの問題だけじゃなくて、顔とか体格とか歩き方とかいった、同級生が僕を面白おかしく表現するそんな虚像をいいように利用して、嫌な自分をめいっぱい出してしまっているのかも知れないのです。