「僕がタバコをやめた理由」-0270-

 大嫌いだったはずのタバコをくわえている自分がいたのです。高校生でもあるまいし、タバコが格好いいと思ったわけでもないし、ポーズでは無いと思っていたのです。でも本当は、何の目的にタバコを吸うのかと言えば、嗜好であり、ストレス解消であり、その大層な目的のためには、あるいは精神的にそのポーズをも利用するのです。

 バーボンとタバコを気取る反面、居間でタバコを吸う親父の前では嫌煙者になってみたりして。要は、マナーの目に余る喫煙者が多すぎることと、タバコの臭いと煙の不快さを忘れてしまっているという事が問題なのです。タバコひとつで停学だとか、そんな話を正直どうでもいいと思っている自分の存在。あるいはタバコと髪の色でしか人を判断できない大人と、タバコと髪の色でしか自己主張できない子供は結局同レベルで、それとは全く関係ない世界でのタバコと髪の色の存在を認めない社会が確かにあるのです。

 そういえば、子供に「タバコ臭い」と言われるのが嫌だという理由で、ポリクリ(お医者さんごっこ)で小児科をまわる直前から、完全にタバコを絶っています。こと酒の席では、飲み過ぎないための手段としてタバコを用いていた感もあり、その分をアルコール以外のなにかで補わなくてはならないかも知れません。ただ、なんとなくもうタバコは吸わない事にしました。

 今までも、例えば、まわりがみんな非喫煙者だったりすると、タバコはまず吸わなかったし、そう言う意味では、弓道部の集まりにはタバコを持たずに行ったし、ポリクリ班の昼食中も一度もタバコを吸ったことはないのでした。ポリクリ生の休憩所と化したロッカー前のソファで、しかし昨年度よりも格段に多くタバコをくわえている自分がいて、もはや、私がタバコを吸わないと思っている同級生も、ほとんどいないのだと思います。かつては、周囲の人間誰もが、私がタバコを吸っているのをみると驚いたもので、私も極力、タバコを吸っている姿を衆人にさらさないようにしていたのです。何故だかは今となってはわかりませんが。

 断じて値上げのせいでやめるんじゃないのです。本当は酒もひかえなくちゃならないのでしょうが、ストレスで胃に穴を開けるか、アルコールで開けるか、どっちがいいんでしょうね。