「作戦会議」-0373-

 1/9の内科の試験をもって、僕の6年間の大学生活はほぼ終わりました。結果が出るのはだいぶ先になるのですが、合格していれば残す公式行事は卒業式だけです。世間は、何かを終了という時期では無いし、今年は「新世紀開始」ということで、さらに「始まり」の感が大きな中、僕らもただ収束するわけでは無く、テスト疲れを微塵も感じさせないようなはしゃぎっぷりで、飲んで歌った後は、何故か朝6時頃まで卓球なんてしているのでした。

 奨学金の返済とか、国試の願書だとか、合格が正式決定しない中でも、僕らは次のステップを念頭に動き始めます。おきっぱなしの白衣を回収してロッカーを引き払い、就職予定先の書類を提出し、大して出来なかった試験の不安はどこかにおいて、気分だけは新人研修医になっているのです。今年の試験、かなり難しかったと思うんですよ。

 僕が入局を決めたのは、大学にふたつあるメジャー外科のうちの一つなのですが、今年は外科系志望が非常に少なくて、現在、僕と一緒の科に決定しているのは、内部からはもう一人だけ、外からも一人だけと仕事の量を考えるとかなりきつい状況になっています。

 国試の願書に添付する診断書を作ってもらう関係で、外科の研究室へ出向き、教授や医局長と雑談する中、「しかし、現時点で最高3人。誰か一人でも卒試や国試で目減りしたら目も当てられませんね」なんて言うと、先生方の表情はにわかに厳しくなり、「とにかく勉強頑張ってよ」という激励の言葉をもらい、その後は、いまだ他科と迷っている人々の勧誘のための作戦会議に切り替わるのでした。