「登龍門」-0485-

 確か、QB(Question Bankという医師国試問題集)だったと思うのですが、その適当な解説の中でも投げやりなものに、設問とは全く関係ない「PD(膵頭十二指腸切除術)は外科医の登龍門であり云々」という記述があって、国試の勉強をしていた当時、外科を志す数少ない同級生たちと、「登龍門か。いつかは切りたい」と盛り上がっていたのでした。

 僕の学年で、外科に進んだ人間は、学内にふたつある外科、母校以外の外科全て含めてもたった7人だけでした。外科と小児科は、人気のない二大診療科と言われていて、数少ない同じ目標の人間は、進む病院こそ違えど、何か親近感のようなものがあったのでした。

 昨日もそのPDが、10時間以上かけて執刀されるのを、鉤引きしながら見ていたわけで、登龍門はまだはるか遠いのです。同日行われた鼠径ヘルニアの手術は、ようやく自分で最初から最後まで進められる、少なくとも進められている気にはなれるようになってきました。

 まあ、焦らず行きます。