[医師国家試験」-0494-

 きくところによると、今日から3日間、医師国家試験なんだそうですね。受験生のみなさん、頑張ってください。

 今、国試を受けても受かる気がしないけれど、受験当時の僕には、目の前でぶっ倒れている患者さんに対応する力は無かったと思います。枝葉の知識はどっかへとんでいってしまったけれど、僕はちゃんと2年分、医者として成長したのだと思うのです。

 ちなみに、僕の受験した二年前は、国試制度が新しく変わったはじめの年でした。試験の時間割や、実際の出題数、必修問題や一般問題がいったいどれなのかなど、全くわからない状態での試験だったので、いろんな噂が飛び交っていたのでした。田舎の大学から東京の受験地に出向いたので、国試前日に、大学からみんなでバスに乗って出かけて、ホテルに宿泊したのですが、その行きのバスの中から既に、お互いに問題を出し合ったりしている異様な雰囲気でした。僕らにとって、6年ぶりの受験。スーツケースにたっぷりと本を詰め込んで持っていく人がいたり、ホテル到着と同時に部屋に籠もってしまう人がいたり、眠剤持参する人がいたり、同級生たちが、素に近い状態にいたのです。僕もスポーツバックをひとつ持って、着替えなどの他にそれなりに教科書や問題集を突っ込んで出かけたのでした。でも、試験問題が回収されてしまう初めての年でもあり、自己採点もできないという状態は、かえって僕を開き直らせて、結局はさっさとビール飲んで寝てしまうことにしたのでした。

 医師国試予備校っていうのが存在して、受験生が金をもらって協力したりして、復元問題などもつくられたようなので、今年受験する人々は、少なくとも新制度2年分の問題集を手にしているのだと思います。過去問だとか、傾向と対策だとか、きっとネット上なんかでもいろんな情報が流れまくり、敏感な受験生たちを刺激するのだろうけど、ベストの体調で、無事3日間を乗り切ってください。ちなみに、今年の受験生たちは、現行の制度で医師となる最後の世代です。いままでは卒後研修は努力規定だったのですが、再来年度からは、国の定めた方法で、2年間の臨床研修が義務化され、一定のルールに従って、各科のローテートなどが求められます。僕の所属する外科の医局に、今までと同じ方法で入ってくる後輩は、今年の受験生が最後なのです。国立大学の独立行政法人化などの話も進んでいるようで、僕らの勤務する環境も、医療をとりまく環境も、日々変化しているのです。

 なんにせよ、良い医療が享受できる環境を望むのです。