寝起きで手術

7時ちょっと過ぎに電話。「一刻を争う手術だからすぐ来い」と。
家で完全に寝ている状態から手術に加わるまでにはやっぱり30分くらいかかってしまうみたい。
手術自体は、電話の直後に開始されたらしく、外科の上司と、救急の医者で血の海と闘っていた。
自己責任とかいう言葉で片づけられるほど、社会はドライではない。
自分だけの責任で、危険な山に入って遭難した人がいて、捜さなくてよいか、というとそんなことはないのだ。結局まわりの人間は、その人のことを捜索したり、なんらかの救いの手をのばさなくてはならない。僕らの社会はそうやって動いているのだ。だから、本当に「自己責任」と言って、自分だけの責任で何かやろうとするためには、他人に迷惑をかけないよう、万全の準備をしなくてはならないのだ。
社会はそして、まだ生きている自殺者を見捨てるようにもできていない。自分だけの責任のつもりで、ナイフを腹にさしたつもりでも、実際には、何人もの医者や看護師が手術に関わり、水曜日の外来担当医がみんな手術に入っているものだから、外来開始は遅れまくって、何十人もの患者さんが長時間待つことになってしまう。
正直、自殺者の治療に当たるのは、とても複雑な思いなのだ。