2004/1/6(火)「無職」

 最初大学で働き始めた頃も、大学に職員の身分が無く…っていうかそもそも医師免許が無くて、法律上無職状態だったわけですけど、2004年の幕開けとともにまた無職。大学の隣の市の病院で、3ヶ月間、麻酔科研修をすることになったのですが、この間、病院に職員として採用されてはおらず、あくまで研修生としての身分。ここに週四日通いますが、僕、無職。ぶっちゃけ給料云々は、勉強と割り切ってますからどうでもいい、いや、本当はどうでもよくないけど、まあいいとして、年金とか健康保険とかはとても困るんですよね。そんなわけで、医師会を通して国保の手続きをし、市役所で国民年金の手続き。週一のバイトで食いつなぎます。

 今日、仕事を終えて大学へ残務処理へ出掛け、医局長に会って人事の話を少し。僕の行く可能性が高い病院について、いろいろ思いを巡らすのです。大学とか、国立の大きな病院は、癌などの症例においては「恵まれている」病院なのだと思います。検診で引っかかったような早期の癌も、難しい進行癌もまんべんなく扱っています。市中病院は、施設によっても様々ですが、野戦病院のような役割を果たす部分もあって、半分くらい救急病院、癌にしてもそうとう放っておかれた症例とか、穿孔などの緊急手術症例、あるいは外傷などの救急症例なども多いのです。治療成績などをみれば、予定手術中心の前者に比べ、後者のほうが悪くなり、そういう意味では「恵まれていない」病院ということにもなるのでしょうか。

 僕はジェネラリストになりたいと思って外科を選びました。もちろん癌も治したいし、そのためには専門病院で同じような症例ばかり続けてたくさん経験するのも必要だと思います。その一方で、いまだ怖い一人当直。救急外来受診患者や急変患者はいつだって怖い存在で、僕はその都度持てる力を全て発揮して診療に当たろうとしますが、いまだその力不足とか、つまらないミスに気づかされ、打ちのめされるのです。

 それぞれの病院に様々な特色があり、必ずしもベッド数の多い大病院が僕を育てるとは限らないし、病院という箱よりも、そこで働くスタッフが、診療レベルや教育レベルを大きく左右するというのも、あたりまえといえばあたりまえの話。

 今外科の臨床から離れているせいか、妙にそういう焦りがあるようです。とにかく地に足つけて、今日をがんばるしか無いし、あとは辞令を待つしかないわけなのですけど。