ゆとり教育のツケ

学力も二極化時代 下位層、より低下 高校数学「ゆとり」のツケ
http://www.sankei.co.jp/news/060115/sha030.htm

 成績が悪い生徒ほど学力低下が著しく、学力が二極化している−。私立高全校の数学教員を対象に東京理科大数学教育研究所(沢田利夫所長)が実施した調査結果で14日、こんな傾向が浮き彫りになった。また、教員からは「中学のしわ寄せが来た分、履修内容が増えすぎている」などと「ゆとり教育」に対する批判が多数寄せられた。

 中高一貫校の教員からは「教科書の内容に縛られていないので、現行(新課程)でも気にならない」と余裕を見せる回答が見られた半面、そうでない高校からは「数学IIICまで終わらせるのが困難。限界を感じる」との悲鳴も上がった。

 「内容が虫食い的に削られ非常に教えづらい」「2、3年に内容が盛り込まれている量が多い。1年生でやるべき内容が少なすぎる」「数学I、基礎解析、代数幾何微分積分、確率統計の内容に戻してほしい」などと数学の体系化を求める意見も根強かった。

 これは当然予想できる結果だったと思います。だいたい、必要なことまで無理矢理削る教え方や、全体像をみないで、下のレベルにあわせるという発想に、全く同意できませんでした。円周率の「およそ3」という教え方にしても、そんな風に教えるくらいなら「π」の概念を教えてしまったほうがすっきりするのではないかと思います。円周率が3だと教わって、関孝和が円周率を計算した偉業と言われてもなんのことやらはっきりわかりませんよ。結局、この報道の数学に限らず、大きな視点で見たときに、いろんなことが伏線をよく考えずに削られ、「虫食い」になって理解を阻みます。
 結局、学校での正課の教育内容で足りなければ、課外授業や学習塾というのが必要になります。これらは本来おまけであって、教科書の時点で、必要十分な内容を教えなくてはならないはずです。元来、塾というのは、学校で教えることについていけない部分を補完するという位置づけであるはずで、学校で教えてもらえない内容を塾で学ぶというのでは、教育の機会均等を破壊する差別だと思います。僕自身も、塾というもののお世話になったことがなく(正確には、小3くらいのときに、パソコンのキーボードのアルファベットやBASICプログラムのコマンドが理解したくて、公文式の英語の塾に通ったことはあります)、あくまで学校の授業を信じていました。そして塾は補助的な場所だと思っていました。余計なお金や時間をかけなくては、必要事項が学べないというのでは、もはや学校に何の意味もありません。そうして学校はいろんな力を失い、教師が学生に対してアドバンテージをとることができなくなりつつあるのではないでしょうか。