淘汰は医療訴訟の力で

http://d.hatena.ne.jp/bosszaru21/20061225#p1
 該当の記事を探してみました。

2006.12.25.日本経済新聞7面(オピニオン)

インタビュー 領空侵犯
「医師免許に更新制 要らぬ」
立命館大学教授 佐和隆光

 −−日本の公的医療保険は医師によって料金が異なるような仕組みは認めません。
 「その仕組みを変えなくても、弁護士が増えることでダメな医師が淘汰されていくに違いありません。法科大学院がつくられ、今後、大量の弁護士が供給されるようになると、医療訴訟が増えます。その結果、医師は自分の技能を磨かざるを得なくなります。不注意な医療過誤が減り、ミスの多い医師は淘汰されることになるでしょう」

 まあ、新聞記事なので、本当にこのように発言したのかどうか分かったもんじゃありませんが。
 とりあえず、バーカ。
 もちろん、ごくわずか、問題のある医師はいるとは思います。でも、現時点で、淘汰されるような数の医師がいるわけでもなく、また、再三述べているように、手を抜くことが可能なわけでもありません。「医療訴訟の結果、自分の技能を磨かざるを得なくなる」わけではありません。また、「不注意な医療過誤」というあいまいな表現が何を指すのかわかりませんが、もちろんみんなそれぞれにミスは起こしたくないと思っているのです。そもそもミスがゼロになることはあり得ません。ミスというのは、そうと思っておかすものではないので、重過失ということを除いては、個人を罰するような形でミスを減らすことは不可能です。ミスを減らすためにはシステムの見直しが必須であり、過失を個人の責任として片づけているうちは、何も解決しません(このあたりのことは、後述の「医療崩壊」に詳しいです)。
 編集委員の山口聡氏が、同じ記事の中で、「聞き手から」として、

 医療は不確実なもので、絶対安全はない。そんななかでむやみに医療訴訟が増えれば、質を上げるより前に医師が萎縮し、なり手が減ってしまう恐れがある。国民のだれもが必要なときに十分な医療を受けられる体制を維持しながら、医療の質を上げていくのは簡単ではない。様々な意見を踏まえ徹底した議論が必要だ。

と、非常にまともな意見を述べているのが救いです。
 とりあえず、佐和氏には、せめて「医療崩壊」くらい読んでからコメントしてもらいたいと思います。

医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か

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