T&E

 クレジットカードにしても、ホテル会員にしても、「とにかく安く」、「なるべくお金を使わない」ということに主眼がおかれてしまえば、その特典はあまり意味を成しません。しかし、そこそこお金を使って良いサービスを受けたいと思っている人間にとっては、年会費のかかるクレジットカードや、ホテルの上級会員の資格というのは、正規料金よりは安くいろいろなサービスを享受することができるので、非常にありがたい存在です。
 僕が初めてクレジットカードを持ったのは学生の時で、可処分所得なんてほとんどない頃の事です。インターネットのプロバイダ契約をするためにカードを作ったのでした。確か1998年の事で、当時学生でも作りやすく人気のあった郵貯カード《セゾン》VISAで、希望限度額もかなり小さく設定していました。当然その頃はサービスを金で買うという余裕は無く、年会費無料のカードを持ち、あくまでポイントや入会特典はおまけという感覚でした。ほんの10年ほど前の話なのですが、当時は今ほどカードというものが普及していなかったようにも思えますし、ポイントやマイレージというものも現在のように複雑化してはいませんでした。両親も基本的には現金決済の人でしたので、クレジットカードを扱うということにはあまり馴染みがありませんでした(尤も、さらに数年前にバブルの恩恵を受けた人たちにとっては、クレジットカード、特にゴールドカードが乱発された時期であり、カードが普及していなかったとは思っていなかったでしょうけれども)。
 カードには当然加盟店手数料がかかります。それに対して、利用者は分割などを使わない限り余計なお金を支払わず、かつポイントなどの特典がもらえます。そのシステムについて多少の興味を持ったものの、年会費を支払ってカードを持つという感覚の無いまま、2005年2月頃までセゾンカード一枚だけを使っていました。カードは借金だし危ないという人もいますが、僕にとっては現金をあまり持ち歩かずにすみ、ポイントのおまけも付いてくる便利な道具でしたし、きちんと計算して使っていましたので、最早手放せないものになっています。確か十万そこそこの限度額であったはずのセゾンカードは、医師免許を手にする頃には、普段の決済にはほぼ困らないような限度額にまで増えていました。
 まだインターネットでの旅行やホテルの予約が発展途上だった頃、先輩が学会出張の宿を、出発の直前にゴールドカードデスクに電話して押さえてもらうというような使い方をしていたのをみて、「サービスを金で買う」ことについても興味を持ち、それまで全く視野に入っていなかった、年会費のかかるカードについても新たに持つことを考えたのでした。その頃は多少は自分のためにお金を使えるようになっていたし、ほぼ年中無休で働いていた僕にとって、医師数年目にようやく少しずつ自分の時間が持てるようになったとき、その何よりも貴重な時間を、少しお金を使って大切に使いたいとも考えるようになったのでした。
 そうして医師4年目の冬に生まれて二枚目のカードを持ったのを皮切りに、その後、おサイフケータイの発達やサービスの多様化、マイレージやポイントサービスの発達と相まって、カードマニアへの道を突っ走ることになったのでした。一番多い時で12枚(ETCカードやセカンドカード、デパートカード含めると18枚)にも達したのに際して、さすがに持ちすぎであると反省し、また、各社のサービスについていろいろと吟味した上で、現在はカードのリストラへ転換。生まれて初めて持ったカードであったものの、郵政民営化等々の影響で、ゆうちょカードと分離してしまったセゾンカードを解約したのを皮切りに、なるべくサービスを集約化し、カード枚数を減らす方向で動いています。それでもなかなか減らないんですけれども。(現在10枚。サブカード等含めると15枚。あんまり減ってないな。)
 口座引き落とししかできないものを除いてほとんどカード払いにしているし、近所のスーパーではモバイルSuicaで買い物(ビューカードでチャージ)、コンビニではEdyかiDかたまにQUICPay、例外的にたまに現金チャージのnanacoも使いますが、とにかく日常生活で現金を使う場面は相当減ってきました。逆に言うと、現金でしか決済できないところで発生した小銭がいつまでも財布から消えません。そのため、帰宅するたびに財布から小銭を抜いて貯金箱に入れていたのですが、それも最近一杯になってしまったので、小銭を入れられるATMから何度かにわけて入金してきました。
 ええとホントはヒルトンの各国のオンラインシステムがきちんと継がれてない話とか、HHonorsのポイント加算の不正確さとかについて記録しておこうと思っていたのですけれども、前置きが長くなりすぎましたのでまたいずれ。