感動

 バンドやってるといいながら、みな仕事だ結婚だ引っ越しだと全然集まれていなくて、実質最後にみんなでライブやったのは一昨年の6月くらい、メンバーの一部に通りがかりのドラマーを無理矢理加えて、録音してみたのも一年くらい前のことになります。今回久々にフルメンバー集まれそうだというので、今度こそ正式メンバーでの録音をと準備しているところです。
 その前哨戦というか打ち合わせというか、最も遠くへ引っ越してしまったギタリストが先日大学のそばまでやって来たので、学生なども交えて大酒を呑んだのがたいそう愉快でした。しかし、僕が本当に楽しかったことを綴ると、とても薄っぺらい言葉になってしまいます。
 僕は周囲の方々に比べると、まあ感動の薄い人間だとは思うのですが、それでも心動かされることというのはそれなりにあるのです。ただその感動を表現するということに関してはこの上なく苦手です。
 屁理屈をこねくり回して言葉を綴るということはできても、「好き」とか「感動した」とかそういう心の機微を言語化するという能力はほとんど持ち合わせていないようで、「どこに感動したの?」とか尋ねられても、ただ「感動した」としか言えずに、心の底から称賛する気持ちが相手に伝わらないということも少なくないような気がします。村上龍氏も「他人にわかりやすく説明できるような『好き』は、案外どうでもいい場合が多い」なんて言っていたので、まあ、そういうことなのかも知れません。