医療はパワハラで回ってる

 とある大学医学部の基礎の教室での「パワハラ」により教授が解雇されたという。休日出勤の強要をしたり、研究を続けたいなら女性は結婚・出産を控えるべきだというようなことを言ったとか。当の教授は納得行かないとして提訴の方向と耳にしました。
 物凄く正直なところを書くと、報道されたレベルでパワハラということであれば、臨床の教室軒並みアウトなんじゃないかな、と思います。僕らは確実に夜間休日の出勤を強要されていたし、その振替の休みを取る手段も(というかそもそも普通に休んだりする手段も)ありませんでした。
 無論、夜間休日誰かがいないと臨床は回らないし、人の命を扱う場所として、全てが時間内に片付くとは誰も思っていません。しかしそれを滅私奉公でしか回せないシステムは腐っているし、書類に残らない休日出勤のみならず、試験監督とか出張が土日に重なった場合に、振替休日を指定せよという書類に、何故か既に出勤した過去日を指定させるのとか、各教室の問題じゃなくて完全に大学ぐるみの悪意だし、パワハラというか労働基準法違反です。
 だから、今回のことを他人事だと片付けたり、自らの組織の同様の問題に気づかなかったり気づかないふりをしてすませるのか、大いに自分たちも同様の問題を孕んでいるということに真摯に向き合って何か良い方向へ進む道を考えるのかということで、その組織の健全さがはかれると思っています。
 同じように、人の命を預かっているからこそ、上限の勤務時間が厳しく定められているパイロットとは真逆に進んだ医療業界、パワハラと体育会的発想が美化され、「上司への返事はハイかイエス」なんて言っているうちは、対外的に恥ずかしい時代錯誤の組織のままだというのは、僕がかねてから言い続けていることなんですけどね。