「自己抜去のススメ」-0155-

 なんだか日付を超える頃家に帰ってくる日々でした。第一外科の実習は、楽しかったのは事実ですが、結構疲れたのも事実です。昨日は、6年生を対象にした、医局説明会という名の飲み会で、今週のポリクリ班の我々も、「来ないと単位はあげないよ」とのことだったので、そのご招待を受けてみました。その前の日も、医局でお酒を出されたりしましたが。

 異様なテンションのまま、舞台は二次会へと移りました。うちの班の女の子は、教授と握手をしたまま、その手をひかれ、そのまま寿司屋へ移動し、将来の展望について熱く語り合ったといいます。その頃僕らは、自分たちもかなり酔っぱらいながら、死体処理班(酔っぱらって潰れた人々の処理)として働く羽目になりました。

 約一名は、病院までタクシーで帰る途中、あるドクターが病棟にストレッチャーを要請し、そのまま病棟へかつぎ込まれました。もはやただの肉の塊となった彼に、やはり酒の入った研修医が、「この人はすぐに点滴を入れないと助かりません、やってみろ」と言われて針を入れようとしました。で、「入りません」と。いや、もちろん死ぬような状況じゃありませんでしたよ、いわゆる冗談ってやつです、タチの悪い。ちなみに、それを見ていた同級生は、気持ちよさそうだったので、自分にも点滴を入れてもらい、例の肉塊の様子を見るように言われ、内線番号を手に書き込んだ直後、眠りに落ちたらしく、結局その内線番号で、点滴終了が伝えられることはありませんでした。

 僕はその頃、なんとかコンビニでアイスを買う余裕を見せながら家に帰り着き、どうやらアイスは食って、ベッドに崩れ落ちました。携帯電話の目覚ましを設定してから寝たのですが、結局アラームは消して二度寝したようです。また電話がなったので、即座に消したのですが、よく考えるとアラームじゃなかったのです。履歴には班の女の子の番号があり、あわててかけ直しました。で、冷静に考えると時計も9時をまわっているので、寝起きもともなって、かなり動揺して「来なくても大丈夫だよ」って言ってるのに、なんか、「ごめん、すぐ行く」とか誤ってたようです。

 他の班員にも連絡しましたが、やはり凄い声で、例の点滴を打たれた彼は、自己抜去の後、近くに落ちていたアルコール綿で適当に拭いて帰ったそうです。まあ、みんなそろってちゃんと1時からの教授のまとめには行ったし、僕はその後、次の班の担当と決める場に立ち会い、自分の担当患者を引き継ぐ人に説明したり、採血の練習したり、一外との別れを惜しんでみました。疲れたけど。

 ちなみに、来週は二外です。一外の先生は、いいからうちのオペに入れとか行ってましたが。もう、今日のことはどうでもいいです。ニルヴァーナバンドの新曲が、何故かDragon Ashらしくて、今日練習だったりしましたが、「他に演りたい曲ある?」とかきかれても、僕の頭の中は注射の手技とか、検査のやり方のことがぐるぐる回っているのです。