「メリークリスマス」-0541-

 神様、僕らは今日もがんばってお仕事してますよ。

 土曜日に降った雪は、もうほとんど残っていないけれど、僕が朝起きる時刻の空はまだ暗くて、乗り込んだ車のガラスは凍っているのです。僕は、ごてごてした服があまり好きじゃないので、あまり暖かい服を持っていません。もう2ヶ月くらい同じような格好で過ごしていますが、最近はさすがに寒いようです。

 火曜日の祝日は、外勤病院で日当直して過ごし、やはり暗い道を走って朝日が昇るのをみながら大学へ車を走らせ、太陽が昇りきらないうちに手術室へ入り、また病棟へ戻るのは夜のことでした。手術を終えて、チェストドレーンを固定するタイガンの「パチン」という音に僕は「メリークリスマス」と呟いたのです。

 器械出しの看護師はただ笑っていたし、指導医は「何いってんの? 疲れてるなあ」と言うのでした。先生、僕、元気ですよ。聖なる夜に、僕の受け持ち患者のうち二人は、集中治療室に入っているのでした。

 看護師控え室には、サンタクロースがピザを届けてくれました。僕は、大学の前のコンビニまで歩いて行って、クリスマスケーキとポケモンの絵が書いてあるシャンメリーを買って、準夜の看護師さんたちと食べました。その後、研修医が買ってきたチキンを医局で食べるのです。

 クリスマス・イブの夜は更けて、いつしかクリスマスを迎える頃、血圧の低かった集中治療室の患者さんの状態が少し落ち着き、病棟もまあ落ち着いているようで、サンタクロースが間違って急患のプレゼントを持ってくることのないうちに、僕は病棟を後にするのでした。

 メリークリスマス。