回診中に逮捕

 福島県立病院の産婦人科不当逮捕の瞬間に話題を戻してみます。
 医師の逮捕の瞬間は、テレビカメラに捉えられ、手錠をかけられて連行される瞬間が報道されていました。僕は、普段ほとんどテレビをみないので、これについては、後日ネット上で、はじめてみました。これによって、改めて哀しみと怒りがこみあげ、やはりこの逮捕・起訴は明らかにおかしいという感情を持つに至っています。
 医師は、病棟回診中に、患者の目の前で、手錠をかけられ逮捕されたそうです。そして、その連行の瞬間を「待機していた」テレビカメラがとらえました。この逮捕の情報はあらかじめマスコミにリークされていたわけです。もともと任意での事情聴取に応じており、淡々と仕事を続けており、警察関係者をのぞいて、誰も「逃亡の恐れ」なんて考えもしない状態で、なぜ、わざわざこの瞬間を狙ったのか、疑念は深まるばかりです。
 この医師は、凶悪犯罪を犯したわけでもなく、現行犯逮捕というわけでもないのです。僕は逮捕自体を不当だと考えていますが、百歩譲って逮捕自体を妥当だと考えたとしても、あくまで任意同行を求めた上で、警察署内で逮捕すればすむ話です。
 社会に医者の負のイメージを植え付けるという目的以外に、わざわざ騒動が起きやすい場面に、マスコミまで招き入れて逮捕を行うという理由が考えられません。また、医師の奥様は妊娠されており、夫の勾留中に出産されたといいます。妊婦の死亡から1年、このタイミングで逮捕したのは、医師へ精神的ダメージを最も与え、検察に有利な自白を引き出そうとしたためと考えるのは乱暴でしょうか。精神的や肉体的に追い込むことによって、本意ではない自白を引き出され、あるいは巧妙に意図をすりかえた調書にサインさせ、それを絶対的証拠として有罪とされた冤罪事件は数知れません。
 昨日も少し触れましたが、国がすすめる「医療過誤の厳罰化」や「医療の集約化」といった政策とリンクしているというのも気になるところです。
 以上、具体的事実以外の部分は、無論僕の全くの私見です。しかし、いろんなことがあまりにも、ある何かのために、出来過ぎているように思えるのです。
 (逮捕された医師本人が後日語ったところによると、「回診中に逮捕」というわけではなく、逮捕は、休診日の土曜日の出来事であり、警察署へ同行した後に突然逮捕状が読み上げられたとのことです。一連のエントリには、当時何をソースにしたのか失念してしまったものもあり、他にも不正確な点があるかも知れません。お詫びして訂正させて頂きます。しかし、いずれにせよ、あまり逮捕ということの必然性が感じられないこと、逮捕された姿がテレビで流され続けたのは事実であり、書いた思いに大きな変わりはありませんので、当該エントリは、そのまま残しておきます。2007.1.29)