無医村の増加?

すでにいろいろなところで触れられているお馬鹿記事ですが、一応突っ込んでおきます。突っ込む価値があるのかどうかわかりませんが、ネタにマジレスという気分で書いてみます。
(参考 http://d.hatena.ne.jp/shy1221/20060411#p2 )
(参考 http://d.hatena.ne.jp/tobiqsec/20060411/p1 )
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1837039/detail

需要と供給のアンバランス〜無医村の増加
 日本の都市文化は非常に絢爛豪華である。他の先進国に決して見劣りがしない。東京ではカネで入手不可能なものは禁制品だけである、と思うほど何でもある。国際都市化した東京にはさまざまな国籍の人間が住むために他国の食材も容易に手に入る。なければ航空便で取り寄せればいい。東京には多額の資金と各種商社をはじめとした手段も豊富にある。

 都市で手に入るものは物質だけではない。仕事とステータスもそうである。特定のところに住むということは、それだけで高い社会的地位を意味する。よく「XX族」というが高い地価が住む人の経済的優位さを簡単に証明する。そういった場所で開業することは同時に、高収入をも意味する。金持ちに接すれば金持ちになることが出来るのだ。

 まあ、ネットや交通の発達により、地方にいても金さえあれば大抵のものを手にいれることは可能になっていますけれどね。でもまあ、いずれにせよ、都市部に様々なインフラや資金、文化が集中していたりするのは事実ですし、突っ込むべきところは別にあるので、ここにとやかくは言いません。ところで、自由診療をするわけでもなければ、高い地価のところで開業したからといって、高い収入が得られるかといえば甚だ疑問です。保健医療では、診療点数決まっていますから。かえって、患者のとりあいになったり、地価が高い故に病院経営に金がかかるのではないでしょうか。まあ、医療関係者ではない方が書いたということであれば、「結局一般的にはそういう認識なんだな」と思っておきます。

 このため、医師の都市在住が固定化されて久しい。医療大学は広く国民に門戸が開かれているが、上記の理由から医師の大多数は決して地方には行こうとはしない。このために完全に医師がいない地方が激増している。こういった地域は過疎地域であり、老人が多い地域であることから社会問題化している。

 別に医者がステータスだけで都会にいるわけではないと思いますけれど。地方にいきたがらない理由は、もっと根深いのです。地域の過疎化の問題が、記事の後半で「医者がいない地域にはだれも住みたがらない」のように書かれていますが、そうではなくて、別の問題で、国民の多くが住みたがらない地域が過疎化しているというだけの話だと思います。過疎化によって、絶対的な人口も減り、新たな人口の流入も減り、当然黙っていれば医者もいなくなるという話。

 もちろん、他人が嫌がることは強制は出来ないので、任意の手段で誘導することが行われてきた。比較的裕福でない医師を過疎地域に誘導する方策を政府は採用していた。だが、裕福でない医師はあまり存在せず、地方行きを喜ぶ医師はさらに少ない、という理由で完全に頓挫してしまった。

 比較的裕福でない医師を過疎地域に誘導する方策というのを僕は知りません。そんな政策があったのでしょうか。裕福でない医師はあまり存在しない、という言及もよくわかりません。勤務医の多くは、それほど恵まれた給料を支払われているとは思えませんが。また、この記者がこの前に述べていたところによると、「そういった場所(地価の高い場所)で開業することは同時に、高収入をも意味する。金持ちに接すれば金持ちになることが出来るのだ」ということなので、むしろ、「裕福でない医師」は、過疎ではない地域で金持ちに接してお金を欲しいと思うのだろうし、過疎地域に住むのが可能なのは、もともと裕福な医師ということになります。「金持ちに接すれば金持ち」の理論からしておかしいので、ここだけ突っ込んでも仕方がないのですが、なんだか言っていることがよくわかりません。

 このために急患をヘリで輸送するなど、事態は悪化の一途である。間違いなく地方の存立を許さない重大事態であると言えよう。医療が受けられない地域に人が来るはずもないのだ。金銭的には保護されることは間違いがないので医師という職業全体のモラルの低下と言うことが出来る。しかし強制的に移住などは出来るはずもない。医師という高い尊敬を有する人々のモラルにしか期待できないのが現状である。

 本当に高い尊敬を有しているのであれば、地方からこんなに医者が逃げ出すことはなかったと思いますけれど。結局、医者の少ない地域で献身的に働いていた医者を、理不尽なバッシングで追いつめ、その劣悪な労働環境の改善も、不当な訴訟や警察の介入への対応もされないままに放っておいたツケでしかありえません。金銭的な保護は間違いないと繰り返していますけれど、要は、「医者は高い給料もらって、しかもモラルがないから自分の住みたくない田舎にはいかないといっているわがままな人間だ」と言いたいのでしょうか。モラルの問題って言うのは簡単ですけれどね。現場の医者がどんなに理論的に話をすすめても、医療問題の最後には必ずと言っていいほど「モラル」だの、「感情」だのということが出てきて強引に話がまとめられるのです。