「自由時間」-0547-


 ひなびた焼鳥屋にみんなで訪れてみたり、いままでは鬱陶しいだけだったハッピーマンデーと3連休を、医者になって初めて休む側として使わせてもらったり、急に与えられた自由時間におろおろしていたりするうちに、麻酔科研修も2週間を経過していたのです。

 小人閑居為不善というか、激務に身をおいているうちは大丈夫でも、僕みたいな小さな人間は、ちょっとヒマになったりするとろくなこと考えないのです。3連休を東京で過ごしていたのですが、そこで僕と休日を共にしてくれた方々と、僕の考えるライフスタイルに抱く思いや不安を語ったりしたのです。

 幸い僕は、自分の人生を自分の枠組みの中だけで考え得るだけの安定した生活、収入を得ることができているのであって、僕の望みは、僕のわがままに過ぎないのだろうと思うのですけど、人に迷惑をかけない範囲で、僕ら人間は、わがままに生きたいと願う動物なのだとも思います。

 麻酔科研修の3ヶ月限定で、僕は外科病棟では考えられないくらい早い時刻に仕事を終えたり、土日、大学から時々頼まれる当直以外はカレンダー通りに休めたりできるのです。無尽蔵に時間があると思えた子供のころとは違って、あくまで有限という思いの強い、ふってわいた自由時間。僕はそれを最大限に使ってやろうと意気込みながら、それに振り回されているだけかも知れません。