内視鏡を握る外科医

 午前中胃カメラ、午後大腸カメラ。学会や研究会に頻繁に出かけるようになる以前の僕は、ほぼこの地域での消化器外科医の仕事っぷりしか知らなかったので、毎日毎日内視鏡を握ることにさして疑問も抱かなかったのです。むしろ内視鏡なんかも手広くやっているのに惹かれて今の医局を選んだわけで、その思いは今でも変わりません。しかしそんなわけで、他の地域の外科医があんまり内視鏡をしていないという事実に気付くのにはちょっと時間がかかったのです。
 外科医が日常的に麻酔かけまくる地域もあるわけで、そういう意味では、お役人様の言う通り、医者は偏在しているのかも知れませんが、あんまり余っているという話はきかず、足りない場面しか目にしたことはありません。消化器内科医の足りないこの地域で僕らは手術の他、内視鏡にも従事するのだし、麻酔科の足りない地域では、外科医が麻酔科標榜医なんて取得して全身麻酔かけて硬膜外まで入れているのだと耳にします。その地域ごとに、特定の診療科の医師に求められるスキルは結構異なっているので、単純に医師の強制配置なんてしてみると、それだけでも大変なことになるだろうとは思います。