患者の身になって

 よく、「医者は患者の身になって考えろ」というような決まり文句でバッシングされることがありますが、実際に、患者の身になって考えたことのない医者は、世間が言うほど多くはないと思います。少なくとも「医療という不確実なもの」を患者さんの側に知ってもらいたいという主張をしている医者たちは、自分や自分の家族が病気になったとき、やはり「不確実な医療」に身を預けなくてはならないことを知っています。
 さて、それでは逆に、医者の立場を想像してみる患者さんというのはどれくらいいるのでしょうか。こういうことを書くと、また怒られそうですけれど。
 もちろん、専門的領域で想像し難い部分が多いとは思います。しかし、そこで思考停止していまい、天の摂理かも知れない不幸な転帰までも、全て医者の責任といって片付けてしまってよいものなのでしょうか。同じ人間に、神の業と奇跡を求めているということを、少しだけ想像してみて頂けたら、と思います。