「アメリカ旅行記その2」-0297-

 今日は、教育・社会情報・工学部弓道部の卒業祝賀会です。後輩達が卒業というのも、なんとも不思議な感じがします。忘れないうちに旅行の回想。

 3/9(木)、あっという間にニューヨーク滞在も終了なのです。寝たばっかりなのに朝5時頃おきだして、空港に向かうのです。この旅行、気付けば移動している気がします。鼻づまりと気圧の変化のダブル攻撃で、なんだか常に耳が遠い気がするのでした。今度のラスベガスへの飛行機は特に遅れず、西海岸時間の午後には、正気の沙汰とは思えない設計のピラミッド型ホテル、ルクソールに落ち着くのでした。

 ホテルはピラミッドの正方形を呈した本館と、東と西のツインタワーからなり、どこもかしこも同じように見えるため、やたらと迷いまくるのです。だだっ広いし、例に漏れず、どこから歩いてもカジノに迷い込むような設計です。アトラクションレベルには、子供も楽しめるように、まるでディズニーランドを思わせるような、無駄に大がかりなライドが用意されていたりして、私たちも、ひとつ試してみたのでした。連れは学割も主張していたようですが、そんなの小田急御殿場ファミリーランドでも通用しないと思いますよ。

 カジノというレジャー、捨て金で遊ぶのもそれはそれでいいのですが、基本的に勝てる勝負は勝つべきだと思うし、最大限の準備をして挑むべきだと思っているので、事前にガイドブックやらインターネットやらでカジノに関する情報収集は怠らず、だいたいのテーブルゲームのルールもだいたい把握しておきました。念をいれようと、ホテルサンレモの日本語無料カジノ講座も受けようということになり、ホテルの前でタクシーを捕まえることにしました。はっきり言って、サンレモは目と鼻の先に見えるのですが、一件のホテルのバカでかさと、タクシーのメーターの動きから察するに、体感距離が麻痺してしまっているだけのようで、結構遠いみたいです。無事サンレモでレッスンを受け、記念品にカジノトランプまでもらいましたが、実はサンレモのカジノには、ポケットに残っていたクォーター(25¢)を数枚落としてきただけです。ごめんなさい。

 夕飯はバカでかい肉第二段を試みました。空港からホテルまで送迎してくれた日本人に、「ここらへんでステーキ食べさせるとこないですか?」と訊くと、「あんまり美味しくないですよ」とか言うので、「いいんです。いかにもアメリカって感じの、無駄にでかくて大味な肉が食いたいのです」なんて、よく考えると失礼極まりないことを言ってたのです。まあ、それなら場所を選ばないということで、ルクソール内でプライムリブを食しました。選択肢は8ozか12ozしか無く、とりあえず小さいほうを、私はレアにマッシュポテト、サラダにサウザンドレッシングを、連れはウェルダンにフライドポテト、サラダにフレンチドレッシングをオーダー。ウェルダンでもなおバカでかい肉。ドレッシングはフレンチは得も言われぬ味がするのでした。肉は半分までは勢いで食したのですが、ああ、筋膜だなあとか考えていたら急に食欲が無くなりました。

 汗もかいたので部屋に引っ込んでシャワーとか浴びた後、気付けば眠ってしまったらしく、夜9時頃再び起き出し、連れも誘っていよいよカジノに行くことにしたのです。あんまりギャンブルとか好きじゃないだろうなと思われる同行者も、ガイドブックなんかで十分に気分は盛り上がっていたらしく、いざ出陣となったのです。現金は$60くらいしか持っていなかったので、$40くらいをとりあえずの軍資金にしようと決めました。本当は、カジノで$100〜200くらいまでは使ってもいいな、と思っていて、今日の流れ次第で、トラベラーズチェックを使うか否か決めよう、と勝手に考えていました。

 スロットは終始つまみ食い程度しかやらなかったのですが、あれは「出ない」という実感がありました。テーブルゲームがやりたくて、ブラックジャックの空きテーブルを探すのですが、なかなか無くて、とりあえずルーレットで運試しをしてみようと、適当な台で両替。40枚のチップを受け取り、ちまちまとずっと黒にかけたりとかしましたが、最終的に$30に目減りし、さっさと台を後にします。うろうろしていた連れも、ようやく別のルーレット台に落ち着き、プレイし始めました。妙にノリノリの白人のお姉ちゃんが、カクテル飲みながら、ツキまくっている反面、連れは奮わないようでした。狙ったところに玉を落とせるディーラーなんてまずいないし、いたといても、カジノの経営者からみたら驚異だから絶対雇わないといいます。普通に確率計算すれば、絶対カジノがもうかるようにできているし、本当に運次第のゲームですが、乗ってる人は本当にはずさないのです。「これしか無い」と思った私は、最高にツキまくっている人が張っているルーレット台を探すのでした。

 ある台に、日本人らしき人と、$5チップを山積みにして賭けている白人がいて、なんだかその白人は景気が良さそうだったので、しばし見学してみることにしました。完璧です。「凄えよ。凄え。このおじさん」と、その邦人男性が、恐らく、その連れに呼びかけたのであろう、こちらを振り向いていたのです。内心、じゃあ、そのツキに乗れよと思いつつ、さっきの$30を、ルーレットチップに換えてもらうのでした。すると、ディーラーにIDを求められ、最初、これから勝つことしか考えていなかった私は、何を求められているのか分からずに、出鼻をくじかれてどきどきしてしまいました。カジノでは21歳以上しか遊べず、特に日本人は若くみられがちで、IDは必須です。

 つまり、そのおじさんが張るところに、微妙に絡んで張るのです。全く同じとか、明らかに真似というのはきっとマナー違反なので、時にはこちらが先行して張ったり、同じ数字に絡むにしても張り方を換えたりしてみます。その絡みはまさに絶妙で、一度の例外もなく、全てに配当が来るのです。おじさんが多めに張っているゾーンには多めに絡んだり、思い出したようにゼロのスプリットに賭けてみたりしたのが功を奏したのでしょう。例の日本人は既に消えていて、かわりにしけたおじさんがちまちま賭けていたのでした。さっきの$5白人の友人みたいな人が途中から参加したので、流れをみてそっちにも絡ませてもらいました。私と彼がゼロスプリットをゲットするのを横目にみたしけたおじさんが、次に私も彼も見向きもしないそこに張ってみたりして、とことん流れのなさをみせていました。

 チップは堆く積まれ、乗りまくっていた私は、気付けばギャラリーに取り囲まれ、後日、同行者に訊くところによると、「あの真剣な目つきは、絶対カジノ初めての観光客じゃ無い」とのことでした。また例の如く張って、更に$20くらい、ファースト12に賭けようとしたのですが、ディーラーからストップがかかってしまいました。ラスベガスのルーレットは、先に述べたような、ディーラーの狙いをさらに防止するために、玉を投げた後も、一定時間賭けることができます。白人のおじさんも、もっと張りたそうでしたがストップされていました。乗っている客には厳しいのでしょうか。結局、確か「9」か何かが出て、ファースト12の予想は当たっていたわけですが、その台初めての無配当でした。おじさんもはずして、「これは潮時かな」とか思っていると、白人のおじさんも全て両替していました。私も最後にしてちょっと気分を害したので、両替してチップを置き、席をたちました。ギャラリーも去り、残されたのはしけたおじさんとディーラーだけでした。

 その時点でもともと$40の元手は既に黒い$100チップと、黄緑の$25チップ二枚、$5チップが二枚に膨れ上がっていたのです。小さな勝ちですが、数時間遊んで収支プラスは大したものです。次はブラックジャックでもやろうかと思うこの時間、既に日付も変わっていたのでしょうか。当然カジノに時計なんて無く、時間の流れなんて全く感じさせないのです。