インシャアッラー

 4月の下旬に着任し、イスラム圏某国での勤務もそろそろ5ヶ月を数えることになります。私の着任の前後に欧米人を対象としたテロによる死傷者の発生により、同じホテルに居住し、小銃で武装した警備員とともに、防弾チョッキを着て防弾車に乗り込んで職場と集団で往復するのみの生活を送ってまいりました。いろんな意味で、日本とは全く異なった生活ですが、いろいろな刺激を受け、幸い元気でやっております。

 先日、現地で使う仕事用の物資を調達するためにシンガポールに出張に訪れたのですが、その後現地情勢が急転した結果、帰りのフライトが無くなり、足止めを食らうことになってしまい、今なおシンガポールにおります。

 今までの人生、何か超常的な大きな力で守られ、大きな危険は遠ざけられ、周囲の人間が何かと助けてくれたおかげでやってこられたような気もします。もともと、治安情勢が悪化する中で、極力現地にいる人間を減らしておくということで、休暇取得の症例や、出張による国外脱出を組み合わせていたので、そういう意味ではその態勢がうまく機能したとも言えます。

 現地に残されている皆さんには申し訳ないのですが(みな無事であることは確認しております)、ある意味国外で足止めを食ったことは、危険から遠ざけられた結果なのかなとも思っています。物資調達のための出張ということで、荷物を最小限にしていた結果、着替えにも困ることになりましたが、幸いここは大都会。追加分を購入し、コインランドリーのあるホテルに移ることで解決しました。

 大学時代の同級生がシンガポールに住んでいたことにも大いに助けられ、食事に付き合ってもらったり、ホテルの情報を教えてもらったりしました。つくづく、僕は本当に良い人々に囲まれて生きていられることに深く感謝します。望むらくは、僕が受けた恩寵を、倍にしてお返しして行きたいです。

 インシャアッラー。近々任地に戻れるでしょう。