「インフルエンザお断り」-0483-

 昨日は救急外来の患者がとぎれず、なかなか病棟にも顔を出せない多忙な当直でした。それでも外科系患者は緊急手術もなく、夕方くらいには一時的に途切れた時間もあって、まだマシだったのですが、熱発(発熱)患者が続々と押し掛けた内科系は、当直医師が「この病院に来てから一番忙しい」と言うほどの盛況ぶりでした。みんなきっと休日外来か何かと勘違いしているんです。

 少し前から、抗インフルエンザウィルス剤の中でも、人気の「タミフル」という薬が品薄になっていて、全国的に困っていたのですが、今日は今日で、前方切除術の鉤引きと、開腹胆摘執刀を終えて病棟へあがってみると「インフルエンザ検査キットメーカー品切れ」の張り紙が。とうとう調べられなくなってしまいました(キットの正診率が100%というわけではありませんが)。症状からインフルエンザと判断して、本当はインフルエンザじゃないかも知れない人にもタミフル処方したりすれば、それはそれで品薄になるんだろうし、嫌な悪循環に突入した気がします。「インフルエンザお断り」の張り紙でもするのか。「タミフルはじめました」とか。

 例えば、昨日やって来た肘内障の子供とか、知識と技術だけで診断を兼ねた治療ができてしまう疾患もあるのだけれど、おおむね、僕らは検査とか薬とかに頼りっぱなしであって、赤血球が420万とか言ってみても、今時、顕微鏡で調べているわけじゃないのでした。