医者のヒエラルキー

P-Doctor’s diaryの10/08
http://d.hatena.ne.jp/aiko-m/20041008

それくらい上の先生が、大学の近所にいる。
その先生のすごいところは
そんなお年でも月に4回も当直をされているところではあるけれど、
新生児搬送の依頼の電話での態度にはあまり尊敬できないところがある。
週数やApgar score、全身状態もはっきり言わず、
「〜〜なので迎えに来れるかね」と言うのだ。
もちろん病棟が落ち着いていれば誰か「待ち」の先生を呼んで、
その病院まで迎えには行くのだけれど、
とてもじゃないけど今はそんな状況じゃない。
10月に入ってからこっち、
重症が続いている。
そんな状況なのに今日、
またその先生から入院の依頼があった。

…電話に出た途端、
「またお前か」
…ショック。
なんで?
ううん、わかってる。
前回もやっぱり超未熟児が生まれたばかりの日に搬送依頼があって、
お断りをしているから、だ。

こういうやっかいな「大先輩」ってのはどこにでもいるわけで。
普段先輩らしく、未熟な後輩を見守ってくださり、的確なアドバイスをくれたり、何かのときには手をかしてくれたりということがあれば、何かのときに多少の無理をききましょう、ということになるのだけれど、ヤクザ社会に例えられる医者の関係の中で、年中やっかいなことばかり言ってくる人というのは、たいていギブはなくテイクばっかり求めてくる。
少なくとも、患者さんの紹介などにあたって、医者対医者として最低限の礼儀作法はあると思うのだけれど、その医者がどんなにまともなことを言い、的確な判断をしたとしても、医者の年齢とか卒業年度などだけで、「若い」医者を徹底的に低くみる人というのはいる。
「弱者」である部分も多い患者さんが、「若い」医者であるということで多少の不安なり不満なりをこぼしたとしても、それは医療側で丁寧に応対し、信頼を勝ち取ろうとも思うのだけれど。
逆に、いくら年上の医者であったとしても、あまりにひどい医療を行っていれば、それは若い医者から指摘したっていいと思う。むしろそうすべきと思うし、僕はそうしてきた。
けれど、こういう行動は、医者の社会では、まだまだ異端児扱い、である。
僕は、体育会原理主義みたいな医者たちからは、多分あまりよく思われていないし、事実そういうことを言われたことも多々ある。
医療が滞らない範囲で、多少は自分を殺して立ち回ることも覚えたけれど、何かすっきりしないものはある。