雑記および私信

 先日、僕の大学医局の直属の上司がご栄転され、我々の医局を離れました。無論喜ばしいことではあるのですけれども、そのせいでやっぱり大学はいろいろと大変みたいです。後輩の大学院生たちが病棟にお召し上げになりそうになったり、やっぱり無しになったり、やや混乱しながら移行期に突入しています。順番的には僕が大学で働かなければならないような気もするので、現在大学の外にいるのに若干罪悪感を感じないでもないです。しかし、それと同時にやっぱり今僕が大学で働くのは無理だなと思ったりするのです。

 今の病院での外科は少人数体制なので、休日の待機当番などそこそこ頻回にまわってはきますが、大学で働く場合の拘束感に比べたら非常に緩いものです。僕にはやはり休日が必要です。いろいろとやりたいこともあるし、会いたい人もいます。ただただ身体と精神を休めたいというだけのこともあります。休みなく働くことを美徳とする医師はまだまだたくさんいますけれども、自分の基準を押しつけるのだけはやめて欲しいと思っています。それと同時に、やはり僕らは他人様の命を預かる特殊な職業であるわけで、一部の医師がネット上などで声高に主張する権利とか、患者に対する苦言の全てが正しいとは思えません。患者に関わる以上、自分の都合ということだけで全てが回るとは考えていないし、責任によってある程度の不自由に縛られることくらいは覚悟しているのです。「ある程度」であって、無限の自己犠牲は勘弁して欲しいところですけれども。ただ、マスコミや一部の患者団体が主張するような極論に、正論ではあっても極論でそのまま返すというのはあまりにも幼稚すぎると思うのです。

 幸いにもそれなりに休みの都合をつけてもらって、ちょこちょこお出かけしたりしています。先週末は友人たちと草津温泉へでかけてきました。草津は本当に温泉らしい温泉です。交通の便が悪いのと、温泉以外にこれといってめぼしいものが無いのが難点ですけれども。草津に初めて行ったのは卒業間近のことです。卒業試験と国家試験の間に、同級生たちの中の希望者たちでバスを借りて、バスの中で酒盛りし、到着した小さな宿でも大宴会をしたのでした。半分とは言わずとも、結構な数が参加して、修学旅行みたいで楽しかったのを記憶しています。宿泊したのはその時以来なので、八年ぶりのことです。

 4/28に33歳になりました。医者になって最初の数年は、当直勤務とか緊急手術がバースデープレゼントでしたが、ここ数年は、翌29日が誕生日という美容師と一緒に、呑み友達が祝ってくれています。「アップルパイが食べたい」とリクエストしたら、パイ生地から手作りで4時間もかけて焼いてくれたみたいで本当にありがとうございました。

 誕生日にワインをしたたかに呑んだのに、翌日もまたワインで酔っぱらいました。思いがけず、素敵な集いに混ぜて頂きありがとうございました。麻布十番でホームパーティー。僕はちょっと状況も参加者もよくわからないまま出かけていったので、ワインを持っていっただけですが、みなさん、すばらしい手料理を用意して下さっていました。初めましての方もたくさん、というかそもそもおじゃましたお宅が初めてだったのですけれども、気さくに迎え入れて下さいまして、どうもありがとうございました。

 ゴールデンウィークです。医者になってからというもの、僕は世間での休日というものが憂鬱で仕方なかったのです。どうせ休めないどころか、休日体制の病院に日当直とかで縛り付けられ、観光で浮かれて病気やケガをする人々が押し掛ける外来にイライラするというのが、世間一般の若手医師たちの日常です。今年は外科3人で待機当番割り振ったのと、今の病院で当直業務をしていないというのもあってかなり楽なんですけれども、きっと後輩たちは、発熱外来が設置されないまま市中の病院の当直要因に放り出されたりして、例年にもまして面倒なことになっているんだと思います。

 楽になったとは言ってもまあ仕事はあるんです。よりによってもっとも渋滞が予想された昨日5/2の土曜日は、何の因果か長野県まで胃カメラをしに行ってきました。渋滞に巻き込まれたらかなわないから新幹線使おうかとかいろいろ考えたのですが、通常は車のほうが便利で早い場所なので、かなり早めの時間に自宅を出て高速道路へ入りました。車は結構走っていましたが、渋滞にはならずに流れていたので病院には無事着きました。しかし、あんな遠いところへ胃カメラしに行くってのはお互いに効率が悪いなあ。地産解消じゃないけれども、医師ももう少し近くで探せないものなのでしょうか。それがかなわない地域もたくさんあるのが実情ですけれども、その病院なら、車で30分から一時間圏内に、内視鏡医たくさんいるはずなんだけどな。

 仕事終わって病院でてみると、渋滞らしきものが生じていました。軽井沢で買い物でもしていこうかなとか思ってたんですが、渋滞が軽井沢方面へ続いてるのにげんなりして帰ってきました。高速道路は空いてました。もともと車の運転というものが好きではないので、仕事よりも行き帰りの運転で相当に疲弊して、帰宅後疲れてうとうとしたら夜になってました。本当は軽井沢じゃないにしても買い物くらい行きたいなと思っていたんだけれども。ジャケットが欲しいの。