癒着剥離

 今週の手術は少々やっかいな症例が続きました。一度でもお腹を切る(開腹)手術を行うと、お腹の中の臓器が多かれ少なかれ癒着するのですが、そうした方にもう一度開腹手術を行うのはいろいろと大変なのです。その中でも例えば、過去に胃の手術をしたあとに、残った胃に癌が発生する「残胃癌」の手術というのは、そうした癒着が高頻度に起こる症例の代表です。一度目の手術操作のために、残った胃が、その周囲にある膵臓や大腸、肝臓など、傷つけてしまうとやっかいな臓器に強く癒着してしまうことが多く、大変な手術になってしまうことが多いのです。今週はそんな症例が続いたのでした。大変だとは言っても、外科が手を出さなければ治療できないことも多く、手術をしないわけにも行かないのですが、続くとやはり疲れます。
 明日は手術の予定が無いので、とりあえず一息つけるかなと思っています。緊急手術が発生すれば別ですけれども。とりあえず忙しいと余計なこと考えなくて済むというのはあって、大学で少々面倒くさいこと言われたこととか、今のところあんまり思案しないで過ごせているという意味では良いのかも知れません。