「封建医局システム」-0072-

 昨年までは、これといった傾向の変化もなく、まあ、簡単なほうとされていた臨床薬理学も、今年は、新教授のもと、傾向をがらっと変え、難問に早変わりとなった。後期のテストは、やたらと過去の傾向が全く関係ないものが多く、もはや、テストも、無理矢理理屈をつくりあげる作業と可す。

 そういえば、眼科の試験も、昨年は教科書持ち込み可だったが、今年からやはり新教授、テスト形式も何やら変わる模様。その他に教授が変わるのは、脳外と皮膚。ちなみに、卒試時には、さらに教授がずらっと入れ替わる。そういう時期だったのだ。

 閉鎖空間教室システム。封建社会の縮図みたいなものか。教授はやっぱり絶対権力で、定年までその地位は守られる。助教授以下の人事権も有する恐るべき権力。教室では神だというのも、あながち誇張ではない気がする。教授戦も論文数の世界で、オペの出来ない外科教授なんて、決して珍しくないわけだ。

 この時代錯誤なシステムがいつまで続くのかは分からない。結局、学生のうちから教室制が体に馴染んでしまうし、なにより、みんな結局保守派なのだ。私も正直、あまり激動のないまま、医者になっちまって、給料をもらいたいと思っているが、結局生活が成り立たないといけないから、この点は仕方が無いのかな、とも思う。ただ、その閉鎖制が、どうも最近、歪みとなって随所にあらわれてきているのは否めないので、何とかしないと。製薬会社や医療機器メーカーとのクリーンな関係も求めないとね。病院の廊下には、いつも誰かしら立っていて、白衣を来た人が目の前を通ると、お辞儀をして…医局長の手の空く瞬間に、自社製品を売り込むのだ。カテーテル室には、医療機器メーカーの人が入って、自社のカテーテルの説明をしながら、パッケージを開けて、術者に渡していた。